古都として、また海岸線を持つ魅力的な街として知られる神奈川県鎌倉市。この地で、市内の公園における「犬の立ち入り禁止」ルールが議論を呼んでいます。鎌倉市の公園の大部分で犬同伴が禁じられていることに対し、愛犬家からは自由な利用を求める声がある一方、犬を飼わない住民からは衛生面などから規制への賛同意見も聞かれます。特に注目すべきは、この厳しい規制があるにも関わらず、市に寄せられる犬関連の苦情が直近5年間でわずか10件程度であるという点です。本記事では、鎌倉市の公園と犬を巡る現状と様々な声、そして市議会での議論の焦点をレポートします。
観光地・鎌倉の由比ヶ浜を散歩する犬と飼い主たち
鎌倉市の公園における犬の現状:大半が立ち入り禁止
鎌倉市には239カ所の公園がありますが、リード着用で犬の立ち入りが認められているのは、そのうちわずか12カ所にとどまります。これは、市内のほとんどの公園で犬同伴が禁止されている現状を示しています。市は、この規制の理由について、公園利用者からの犬との適切な距離が確保できないことによる「安全確保のため」と説明しています。市内には犬の散歩が可能な比較的大きな公園もありますが、入り口には数多くの注意書きが記載された看板が設置されており、ルールの厳格さが伺えます。
鎌倉市の犬同伴可能な公園入口に立つ、多数の注意書きが記載された案内看板
異なる立場からの声:愛犬家と住民の意見
このような鎌倉市の公園ルールに対して、愛犬家からは様々な声が聞かれます。「公園は誰のためにあるのか。犬を飼っていると公園を利用できないのは不平等」「うちの子は大人しいが、気性の荒い犬もいる。犬は獣だから…」といった声がある一方で、「少し寛容になってほしい」「公園を散歩させたい」と、規制緩和を望む意見も寄せられています。
一方、犬を飼っていない住民からは、規制への賛同意見が多数です。「(条例は)妥当だと思う。犬が来ると毛が飛んだり用を足したりする。子どもが遊ぶ場所として不衛生」「おしっこなど結構臭う。放し飼いにする人もいて困る。お互いにとって良い形で共存できれば」といった声があり、衛生面や安全面への懸念がうかがえます。
規制と苦情件数のギャップ:市議会での焦点
この鎌倉市の公園における犬の立ち入り制限の問題は、去る6月12日に行われた鎌倉市議会の定例会でも議題となりました。注目されたのは、市に寄せられている関連の苦情件数です。細川まなか議員からの質問に対し、市担当者は直近の件数を明らかにしました。令和3年度に5件、令和4年度に1件、令和5年度に5件、そして令和6年度は0件。合計しても、直近5年間で苦情は約10件にとどまります。厳しい規制にも関わらず苦情が少ないというこの事実は、議会で大きな関心を呼びました。
今後の展望:市の検討姿勢
この苦情件数について、市担当者は取材に対し、「正直多くはない」と認めた上で、今後の対応について言及しました。市の見解として、街区公園は地域の身近な場所として利用されているため、地元の自治町内会などからの要望や相談を受け、入園を認められる公園を選定することも含め、検討していきたいと述べています。
参照元
- FNNプライムオンライン / Yahoo!ニュース: 鎌倉ほとんどの公園で“犬連れ禁止”ソレってどうなの? 住民からは賛否…直近5年間の苦情件数は約10件【独自の取材】