東京都議選 石丸新党「再生の道」の支持率低迷 「石丸旋風」はどこへ?

まもなく投開票を迎える東京都議会議員選挙において、元東京都知事候補である石丸伸二氏が立ち上げた地域政党「再生の道」の情勢が注目されています。昨年の都知事選で「石丸旋風」を巻き起こし、160万票を超える得票で小池百合子氏に次ぐ2位となった石丸氏ですが、今回の都議選では結党した「再生の道」が苦戦を強いられている現状が世論調査で明らかになりました。期待された議席獲得に向け、何が課題となっているのでしょうか。

朝日新聞社調査で判明した「再生の道」の低支持率

朝日新聞社が6月18日、19日に実施したインターネット調査によると、「仮にいま投票するとしたら」という質問に対し、地域政党「再生の道」の支持率は2%に留まっています。これは、自民党の28%、立憲民主党の14%、国民民主党の10%といった主要政党と比較して極めて低い数字です。この結果は、都議会での議席獲得を目指す「再生の道」にとって厳しい現実を突きつけるものとなりました。

都議選を巡っては、都議会自民党の裏金問題による逆風から議席減が予測されており、その受け皿として国民民主党や石丸氏の新しい政治団体に注目が集まっていました。しかし、国民民主党も山尾元衆院議員に関する問題などで支持率が伸び悩む中、「再生の道」への期待も大きかっただけに、今回の調査結果は関係者に衝撃を与えています。

昨年の東京都知事選で注目を集めた石丸伸二氏。都議選での「再生の道」の苦戦が報じられている。昨年の東京都知事選で注目を集めた石丸伸二氏。都議選での「再生の道」の苦戦が報じられている。

「石丸旋風」の記憶と都議選の現実

昨年の都知事選で石丸氏が起こした「石丸旋風」は、既存政党への不満を持つ層や若年層を中心に支持を集め、無党派層の投票行動に大きな影響を与えました。その勢いが、今回の都議選で候補者を擁立した「再生の道」にも引き継がれるのではないか、と選挙戦開始前には囁かれていました。都政担当記者は「都議会自民党への批判が高まる中で、石丸旋風が“再び”巻き起こり、議席獲得のチャンスがあるのではと見られていた」と語ります。

しかし、蓋を開けてみれば、調査が示す通り「再生の道」への支持は広がっていません。都知事選での個人の人気や勢いが、地域政党としての組織力や候補者への浸透に直結していない現実が浮き彫りになっています。

支持率低迷の背景にある課題

なぜ「再生の道」は都議選で苦戦しているのでしょうか。複数の候補者や選挙関係者からは、いくつかの要因が指摘されています。

候補者の選挙活動経験不足と準備の遅れ

ある区の立候補者は、「本当にやる気があるのか疑問だった」と厳しく指摘します。告示日の1週間前にようやく街頭演説を開始したり、告示日当日の夜になってもポスター貼りが完了していなかった候補者もいたといいます。「再生の道」の候補者は現職や元職を含め政治経験者がゼロであり、会社員など別の本業を持つ人が多数を占めます。このため、「夜しか街頭演説ができない人もいた」ことや、「毎日街頭演説をしない人もなかにはいて」、選挙活動の準備や実行に遅れやばらつきが見られたことが、有権者への浸透を妨げた可能性が挙げられます。

SNS戦略の限界と有権者へのリーチ不足

また、石丸氏自身はSNSでの発信力に定評がありますが、候補者自身が石丸氏のようにSNSでバズっているわけではないとの指摘もあります。街頭演説のYouTube再生回数も多くて数万回程度であり、その視聴者の「東京都在住の割合は2割程度だと聞く」との証言は、オンラインでの活動が必ずしも東京都内の有権者に直接届いていない現状を示唆しています。既存政党のように地域に根差した活動や組織票がない中で、SNSだけに依存した選挙戦の難しさが浮き彫りになっています。

多様な経歴を持つ候補者と有権者の評価

「再生の道」は今回、計42人の候補者を公募で選出し擁立しました。応募総数約1100人の中から3回の選考を経て選ばれた彼らは、政治経験がない代わりに、会社員、経営者、教授など非常に多様な経歴を持っています。

例えば、東京都板橋選挙区からは東京電力ホールディングス勤務の船本優月氏(33)、新宿選挙区からは元みずほ銀行勤務でスタートアップ役員の平良雄大氏(38)、世田谷選挙区からは元アナウンサーでIT企業勤務の鳥海彩氏(37)が出馬しています。他にも通信会社社員や東京大学名誉教授など、専門性を持つ人材が集結している点は特徴です。しかし、有権者にとっては、これらの多様なバックグラウンドが、都議会議員としての実務能力や政策実現力とどのように結びつくのか、評価が定まっていない可能性があります。政治経験のなさが、選挙活動の拙さや有権者からの信頼獲得の難しさにつながっている側面も否めません。

結論

東京都議選における「再生の道」の現在の支持率低迷は、昨年の都知事選で見られた「石丸旋風」が、地域政党として議席獲得を目指す上での課題に直面している現状を示しています。政治経験のない候補者が中心であることによる選挙活動の遅れやノウハウ不足、そしてSNSだけに頼りがちな選挙戦略の限界などが、有権者への浸透を妨げている要因として挙げられます。投開票まで残りわずかですが、ここからどこまで支持を広げられるかが注目されます。

Source: 週刊プレイボーイ (via Yahoo!ニュース)