国会本会議に異例の「丸投げ」大合唱 自民が野党法案に猛反発

国会本会議で異例の事態が起きた国会議事堂の外観国会本会議で異例の事態が起きた国会議事堂の外観

通常国会の会期末が迫る中、事実上の最終日となった6月20日の衆議院本会議で、異例の光景が展開された。自民党議員が、野党提出の法案に対する批判の中で「ま・る・な・げ」と語気を強め、これに同僚議員が呼応し、本会議場に「丸投げ」という言葉が絶叫調で響き渡る前代未聞の事態となった。これは、野党が多数を占める衆院財務金融委員会で可決されたある法案を巡る与野党の激しい対立の末に起きた。

この日、衆院本会議に緊急上程されたのは、野党7党が共同提出したガソリン税の暫定税率廃止法案だった。本会議に先立つ衆院財務金融委員会では、自民党委員長の解任決議が可決され、立憲民主党の阿久津幸彦議員が新たな委員長に就任。野党はこれを受け、質疑と採決を行い、与党の反対を押し切って賛成多数で法案を可決していた。

本会議での各党討論では、反対討論に立った自民党の小寺裕雄議員が、野党側の法案には財源の裏付けがないと厳しく追及した。小寺議員は「財源がないのに、政府与党に(財源確保を)ま・る・な・げ」だと、区切りながら批判の言葉を放った。これに対し、自民党の複数の議員が自席から同調する声を上げたのだ。小寺議員はさらに、この法案を「究極のポピュリズム法案だ」と断じ、「数は力だが、多数だから何でもやっていいわけではないし、なんでもできるわけではない!」と野党を激しくこきおろした。

衆議院財務金融委員会でガソリン税暫定税率廃止法案を可決する様子衆議院財務金融委員会でガソリン税暫定税率廃止法案を可決する様子

自民党議員による「ま・る・な・げ」の大合唱は、本会議場に計3回響き渡った。これに対し、立憲民主党をはじめとする野党側も反論のヤジを飛ばすなど、本会議場は一時騒然とした雰囲気に包まれた。討論後の本会議での採決では、野党の賛成多数により法案は可決され、参議院に送られた。

参議院では翌21日に参議院財政金融委員会でこの法案の質疑が行われる予定だ。しかし、参議院は衆議院とは異なり与党が多数派を占めている。このため、参議院で法案が成立する見通しは立っておらず、衆院を通過したこの法案の行方は不透明な状況が続いている。この一連の出来事は、国会における与野党間の根深い対立と、法案審議を巡る攻防の激しさを浮き彫りにした。