米商務省が、韓国のサムスン電子やSKハイニックス、台湾の台湾積体電路製造(TSMC)に対し、中国での半導体生産に関して認めていた特別措置の撤回を検討していることが明らかになりました。この措置が撤回されれば、各社が中国国内の工場で米国製の製造装置や技術を使用することが、これまでより一段と困難になる見通しです。
米国製装置・技術の使用に影響
この動きは、世界的な半導体サプライチェーンに影響を与える可能性があり、特に中国で大規模な生産拠点を維持しているこれらの企業にとって重要な問題となります。米国が認める特別措置は、特定の条件下で米国製半導体製造装置の中国への輸出を許可するものであり、その撤回は中国にある既存工場での生産活動に直接的な制約をもたらすことになります。
ソウルの半導体工場クリーンルームで撮影された製造装置の写真。米国の輸出規制と関連。
レアアース交渉との関連性示唆
トランプ前米政権の高官は、ロイターに対し、今回の検討はレアアース(希土類)供給を巡る中国との将来的な合意決裂に備えた「基礎固め」だと説明しました。同時に、レアアース供給自体は合意通り続くと自信を示しています。このコメントは、半導体規制が米中間のより広範な経済・貿易交渉、特に重要鉱物のような戦略物資の供給問題と絡み合っている可能性を示唆しています。
関連企業のコメント状況と市場の反応
TSMCの広報担当者はこの件に関するコメントを控えると表明しました。サムスン電子やSKハイニックス、そして米国の主要半導体製造装置メーカーであるラム・リサーチ、KLA、アプライド・マテリアルズにもコメントを求めましたが、本稿執筆時点までに回答は得られていません。
米国が特別措置の撤回を検討しているとの可能性は、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが先に報じました。この報道を受け、サムスン電子やSKハイニックス、TSMCといった関連企業の株価は下落する一方、競合する米国のマイクロン・テクノロジーズの株価は上昇するなど、市場は即座に反応を示しました。
背景にある対中輸出規制
この背景には、米国が2022年10月に国家安全保障上の懸念、特に中国が半導体技術を軍事力強化に転用することを阻止する目的から、高性能な米国製半導体製造装置の対中輸出を原則として全面的に制限した措置があります。その後、韓国や台湾といった同盟国の主要メーカーに対しては、中国にある既存工場の稼働維持のため、個別に審査された上での限定的な装置納入許可(特別措置)が与えられていました。今回の検討は、この特別措置を見直す動きとして捉えられます。
米商務省による今回の検討は、中国の半導体技術発展をさらに抑制し、米国の技術優位性を維持するための継続的な取り組みの一環と見られます。世界的な半導体供給体制や、米中間のテクノロジー覇権争いの行方に、今後も注視が必要です。
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