石破首相、物価高対策給付金を説明 参院選公約「バラマキ否定」

石破首相は23日、通常国会の閉会を受けて記者会見を開き、自民党が参議院選挙公約に盛り込んだ物価高対策としての新たな現金給付について、その意義を強調しました。「バラマキではなく、本当に困っている方に重点化する給付金だ」と述べ、給付金に対する批判に反論しつつ、政策の目的を明確にしました。

経済成長と物価高対策の方向性

会見の冒頭、石破首相は日本の将来像として、国民が「今日より明日はよくなる」と実感できる社会の実現を掲げました。経済目標として、現在の名目GDP(国内総生産)600兆円を2040年には1000兆円に、現在の平均所得400万円を5割以上増加させることを目指すと述べました。こうした経済成長目標の達成に向けた取り組みと並行し、現在の喫緊の課題である物価高への対応が不可欠であるとの認識を示しました。

新たな給付金の具体的な内容

物価高対策の中心となる新たな給付金について、石破首相は赤字国債に頼らず、真に支援が必要な人々への「重点化」を改めて強調しました。特に、価格上昇が著しい食料品などへの支出増を踏まえ、具体的な給付額と対象者を説明しました。給付金は、子供がいる世帯には子供1人あたり4万円、低所得者の大人には1人あたり4万円を支給するとしています。それ以外の国民に対しては、1人あたり2万円の給付金となります。この給付金は、今回の参議院選挙における自民党の主要な公約の一つです。
石破首相が記者会見で物価高対策としての給付金について語る様子石破首相が記者会見で物価高対策としての給付金について語る様子

消費税減税に対する首相の見解

野党が主張する消費税の減税については、明確に否定的な立場を示しました。消費税は、医療、年金、介護といった重要な社会保障制度を支える安定した財源である点を挙げ、この安定財源なしに減税を行うことは「無責任」であると批判しました。さらに、消費税減税は実施までに時間がかかること、所得が高い層ほど恩恵を受けやすいこと、そして何よりも社会保障の財源を危うくする可能性がある点を指摘し、「決して適切なものとは思えない」との見解を述べました。

個別の物価対策と今後の対応

国民生活に影響の大きい個別の物価問題についても言及しました。コメの価格高騰に対しては、政府が随意契約による50万トンの備蓄米の売り渡しを進めた結果、平均価格が下がり始めるなど効果が現れており、5キロあたり3920円になったことを報告しました。また、電気代・ガス代の高騰に対しては、夏の電力需要が増える7月から9月にかけて、標準的な家庭で約3000円程度の負担軽減となる支援策を実施する方針を示しました。ガソリン価格に関する暫定税率の撤廃については、公明党および国民民主党との間で継続的な議論が行われており、安定財源の確保と合わせて結論を得る段階にあるとして、詳細な言及は避けました。
記者会見で経済や生活対策について説明する日本の首相記者会見で経済や生活対策について説明する日本の首相

結論

今回の記者会見で石破首相は、参議院選挙公約の目玉である物価高対策のための新たな給付金が、「バラマキ」ではなく、物価上昇に苦しむ国民、特に子供がいる世帯や低所得者層に焦点を当てた「重点化」された支援であることを強調しました。経済成長と所得向上という長期的な目標を示しつつ、消費税減税には慎重な姿勢を崩さず、コメやエネルギー価格への個別対策の進捗も説明しました。政府としては、これらの施策を通じて国民が将来への希望を持てる社会の実現を目指していく姿勢を示しました。

参考

  • FNNプライムオンライン (フジテレビ政治部)