第219回臨時国会が2025年10月21日に召集され、日本政治に新たな歴史が刻まれました。自民党の高市早苗総裁が衆参両院本会議での首相指名において、第104代首相に選出されたのです。これは憲政史上初の女性首相誕生という画期的な出来事であり、自民党と日本維新の会の連立合意を受けての新内閣発足となります。高市新首相は同日夕方に皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て、正式に新内閣を発足させ、その後の記者会見で内政・外交の基本方針、特に物価高に対応するための経済政策について言及しました。初の閣議では、早期の今年度補正予算案の編成・国会提出や、「ガソリン減税」の早期実施などを指示する見通しです。
憲政史上初の女性首相誕生と連立政権の船出
衆議院での首相指名は、自民党と日本維新の会、そして一部無所属議員の協力を得て「1回戦決着」という形で高市早苗氏に決定しました。この首相指名により、高市氏は日本の歴史上初めての女性首相として、新たな政権を率いることになります。自民党と日本維新の会は連立合意に至りましたが、日本維新の会は閣僚を出さない「閣外協力」という形態をとります。これにより、新内閣は発足早々、その政権運営の安定性が問われることになります。連立合意書に明記された12項目にわたる政策の成否が、今後の連立関係の維持、ひいては政権全体の安定に直結すると見られています。
綱渡りの政権運営と主要閣僚の人事
閣外協力という形式は、高市新内閣の政権運営に常に緊張感をもたらす可能性があります。日本維新の会との連携が円滑に進まなければ、連立自体が破綻するリスクも内包しており、自民党の長老からも「出たとこ勝負の“綱渡り”」となる可能性が高いとの声が上がっています。このような背景の中、新内閣の陣容、特に主要閣僚の人事が注目を集めています。外交、経済といった重要分野を担う閣僚が、高市首相の政権運営をどのように支えていくかが焦点となります。
外交の要となる茂木敏充外相
新内閣の外交政策を担う外相には、茂木敏充元自民党幹事長が就任しました。茂木氏は旧茂木派の領袖であり、麻生太郎副総裁と共に高市政権誕生の立役者の一人であることから、早期に外相の最有力候補と目されていました。彼は過去に外相、経済産業相、経済再生担当相などを歴任し、その交渉手腕はアメリカのドナルド・トランプ元大統領から「タフネゴシエーター」と評価された経緯があります。首脳外交の経験が少ないとされる高市首相を支え、当面は「事実上の外交トップ」としてその“弱点”を補う役割が期待されており、今後連続する一連の「首脳外交」での手腕が注目されます。
経済政策の司令塔、片山さつき財務相の抜擢
高市新内閣の経済政策の司令塔となる財務相には、片山さつき元地方創生担当相が起用されました。参議院議員である片山氏が、女性として初の財務相に抜擢されたことは、今回の人事で特に注目される点です。彼女は総裁選において高市陣営の中核を担っていたため、一部では「論功行賞人事」との指摘も少なくありません。当初、片山氏は厚生労働相での入閣が有力視され、財務相は加藤勝信氏の再任が取り沙汰されていましたが、加藤氏が先の自民党総裁選で小泉進次郎陣営の選対本部長を務めていたこともあり、異例ともいえる片山氏の財務相起用へと至りました。
高市早苗氏が憲政史上初の女性首相として第104代内閣を率いることになり、主要な閣僚人事も固まりました。新内閣は、物価高対策やガソリン減税といった喫緊の経済課題への取り組みを急ぐ一方で、日本維新の会との「閣外協力」による「綱渡り」とも形容される政権運営という、二重の課題に直面しています。高市首相のリーダーシップのもと、新内閣がこれらの課題にどう対応し、日本維新の会との連携をいかに安定的に保ちながら政策を実現していくか。その動向は、今後の日本政治の安定性と国民生活に大きな影響を与えることでしょう。