「2025年7月5日に大災害が起きる」という「予知夢」を取り上げた書籍が話題となり、「ノストラダムスの大予言」への関心が再び高まっています。特に「1999年7の月」に関する予言は、当時大きな社会現象となりました。多くの良識ある人々はシリアスに受け止めていませんでしたが、ベストセラーとなった予言書は、一部の人々に強い影響を与え、中にはビジネスに活用するたくましい人々も現れました。ここでは、当時の週刊誌「FOCUS」(1999年7月14日号)に掲載されたレポート「『1999年7の月人類滅亡』 ノストラダムス大予言を煽る人踊る人」を基に、その社会の反応を振り返ります。
「私が見た未来 完全版」書籍カバー。たつき諒氏の「2025年7月5日」予知夢に関する本。
迫る「1999年7の月」に備え、山奥へ移住した一家
愛媛県内の人里離れた山奥でひっそりと暮らすAさん一家。ガスはプロパン、水道はなく山の水を引く自給自足の生活を送っています。自宅には味噌、醤油、缶詰など半年分の食料が備蓄されています。一家がこの地に移り住んだのは1993年。もちろん、1999年7月の「大異変」に備えるためでした。夫人が大津波のビジョンを見たことがきっかけで、「標高の高い山に逃げるしかない」と決断したといいます。Aさんは、1999年の「7の月」には惑星直列、いわゆるグランドクロスが起き、地球が引力の影響を受けて危ない状態になる、と当時語っていました。
特定の日付を信じ避難、そして宇宙人からの啓示
青森県内のB子さんも同様に山へ逃げると語った一人です。「ノストラダムスの著書『諸世紀』の4章18節に出てくる『777』という数字は、グリニッジ時間で今年(1999年)7月7日午前7時に大洪水が起こることを意味している」と彼女は信じ、標高3000メートル以上の山に1カ月分の食料を持って逃げる決意を語っています。
また、Aさんの友人の中には、UFOを目撃して以来、宇宙人に守られていると語る男性もいました。この男性は、大量の隕石が地球に落ちてくるビジョンを繰り返し見たといいます。「山は吹き飛び、ビルは倒れ、海には何十メートルという水柱が上がる」惨事が起きるが、自分自身は船に乗っているので無事、というビジョンだったそうです。この人物は、宇宙人の指示で、健康器具を1万円ほどで製造・販売しており、これを一定数完売すれば地球が救われるというメッセージを受けたと語っていました。
予言に関連する災害イラスト。日本列島に押し寄せる大津波のイメージ。
1999年の「7の月」に「人類滅亡」が予言された際、社会には様々な反応が見られました。多くの人々が冷静に受け止める一方で、予言を真に受け、生活を変えるほどの行動に出る人々も存在しました。また、こうした状況を背景に、独特な信念を持つ人々や、それをビジネスにつなげるケースも見られました。週刊誌のレポートは、予言というものが社会に与える影響の多様性、そして時に極端な行動を促しうる側面を示唆しています。