広島・里見誠さん強盗殺人事件で18歳女ら3人逮捕:被害者の背景と捜査の軌跡

ことし4月12日の夜、広島県府中町の水分峡森林公園で発生した、東京都在住の会社員・里見誠さん(52)が殺害された強盗殺人事件で、広島県警は6月22日、愛媛県松山市に住む18歳の女と、広島県安芸郡の会社員で16歳の少年、18歳の男の計3人を強盗殺人の疑いで逮捕しました。被害者の里見さんは、頭部を鈍器のようなもので殴られて殺害され、現金やカードなどを奪われたと見られています。

広島県府中町 水分峡森林公園で発生した殺人事件の被害者、里見誠さんの写真(Xより)広島県府中町 水分峡森林公園で発生した殺人事件の被害者、里見誠さんの写真(Xより)

事件の経緯と容疑者の接点

事件発生後、18歳の女は警察に出頭し、「里見さんと一緒にいた際に、知らない男2人に襲われた」と説明していましたが、その後の捜査で女が逮捕された16歳の少年と面識があったことが判明しました。捜査関係者によると、警察は3人が何らかのきっかけで連絡を取り合い、共謀して事件に関わった可能性が高いと見て捜査を進めています。

被害者と容疑者女性の繋がり

被害者の里見さんは、数年前まで愛媛県松山市で生活していた時期があったようです。その際にSNSを通じて今回逮捕された18歳の女と知り合い、過去にも何度か会っていたことが捜査で明らかになっています。事件当日、女が里見さんを広島まで呼び出したとの見方も捜査関係者の中にはあり、これが事件に繋がる重要な接点になった可能性があります。

捜査の難航と突破口

事件発生から容疑者逮捕まで約70日を要しました。広島県警は当初から80人態勢で捜査にあたっていましたが、現場周辺には防犯カメラが比較的少なく、被害者の身元特定なども難航したと報じられています。しかし、周辺の防犯カメラ映像を地道に辿る、いわゆる「リレー捜査」などにより、容疑者3名の特定に繋がりました。

被害者の人柄と愛車

里見さんが住んでいた東京都練馬区の自宅周辺も、事件発生から間もない時期に騒然とした雰囲気になっていました。近隣住民によると、「会社に来ない」と同僚から連絡があったことがきっかけで警察が自宅を訪れたとのことです。里見さんの自宅は車庫付きのアパートで、近隣住民からは「車マニアのような人」「赤いポルシェに乗っていた」と認識されていました。土日には車庫前で洗車したり、ドライブに出かけたりしていた様子が目撃されています。

里見さんのものと見られるSNSアカウントのプロフィールには、愛車としてポルシェ911カレラとHONDA S660モデューロの名前が記載されていました。彼が利用していたという整備工場の従業員によると、里見さんは1年ほど前に仕事で東京本社の異動が決まり、それまで数年間は愛媛県松山市で生活していたと話していたそうです。「愛媛が好きなんだ」「物価も安いし、自然も豊か」「仲間もいっぱいいて、お気に入りのドライブコースもあるんだ」と、松山での生活に愛着を持っていた様子を明かしています。

今回の逮捕により、事件の全容解明に向けた捜査がさらに進むことが期待されます。被害者の里見さんの複雑な背景と容疑者との繋がりが、今後の捜査でより明確になるでしょう。