【香港=藤本欣也】香港で1日、11月24日の区議会(地方議会)選後初めてとなる大規模な反政府デモが行われ、主催者発表で約38万人が参加した。警官隊もこれまで自制してきた催涙弾を連日発射するなど、選挙前から続いていた“休戦”は事実上終了した。
九竜地区の繁華街、尖沙咀(チムサチョイ)に集まった市民らは、普通選挙実現など「5大要求」全ての受け入れを政府に迫った。
区議会選での民主派圧勝後、林鄭月娥(りんてい・げつが)行政長官は「警察の暴力に関する独立調査委員会の設置」については拒否したが、抗議活動の原因などを検討する「独立検討委員会」を設置する方針を明らかにしている。
しかし、この日のデモに参加した中年女性は「私たちが要求しているのは『検討』ではなく『調査』だ」と政府の対応を批判した。
抗議活動をめぐっては、民主派が区議会選前にデモの自粛を呼び掛け、警察側も11月19日から催涙弾の発射を自制したことから“休戦”状態となっていた。
だが、警察は同30日、九竜地区で起きた若者らの抗議活動に催涙弾で対応したのに続き、12月1日も各地で催涙弾を発射。一日百発以上撃っていた以前に比べるとまだ抑制しているとはいえ、今後、双方の衝突が再燃する可能性がある。
一方、香港紙によると、香港に近い中国・珠海付近で11月29日、中国の武装警察官ら1千人以上による大規模な対テロ訓練が行われた。香港のデモ隊を牽(けん)制(せい)する狙いもあるとみられる。