中国で、5歳の女児が温泉に入った後、「脳を食べるアメーバ」に感染し、昏睡状態に陥ったことが分かった。
澎湃新聞など現地メディアが5日、報じた。それによると、この女児は6月7日と14日の2回にわたり、中国・福建省厦門にある温泉を両親と共に訪れ、温泉浴と水泳を楽しんだ。その後、同月22日に頭痛、微熱、嘔吐(おうと)の症状が現れ始めた。症状が悪化したため翌日に病院に入院したが、病状は急速に悪化し、昏睡状態に陥った。24日からは集中治療室(ICU)に入って人工呼吸器をつけているという。
検査の結果、女児はフォーラーネグレリア(Naegleria fowleri)に感染していることが分かった。フォーラーネグレリアは、感染すると致命的な脳髄膜炎を引き起こす病原性の高い原虫だ。人が水の中に入っているときに鼻から脳に侵入する。このとき脳の組織細胞を食い荒らして腫れを引き起こすため「脳を食べるアメーバ」と呼ばれるようになった。もともと、主に湖や川などの温かい淡水で発見されることがよく知られおり、このような場所での遊泳中に感染するケースが多かった。
潜伏期間は短ければ2-3日、長い場合は7-15日に及ぶ。感染初期には頭痛、意識混濁、嗅覚喪失などの症状が現れ、気道の上部に症状がみられる。感染が進むと徐々に頭痛が悪化し、発熱や嘔吐などの症状も現れる。ただし人から人への感染はないという。
1937年に米バージニア州で初の感染事例が確認されて以来、2018年までに報告された感染は381件で、感染例自体は非常に少ない。しかし症状の進行は早く、致死率が97%に達するほど致命的だ。米国では1962年から2021年の間に計154人の感染者が確認され、そのうち生存したのはわずか4人だった。韓国では2022年、タイに4カ月間滞在して帰国した50代の男性が、脳髄膜炎の症状が出た後に死亡し、その後の検体検査でフォーラーネグレリアへの感染が確認された。
ムン・ジヨン記者