米大リーグ、ドジャースの大谷翔平選手が「不法移民は出ていくべきだ」という趣旨の発言をしたとする英語の投稿がソーシャルメディアのX上で拡散しましたが、これは根拠不明の誤情報です。発信源は野球関連のパロディアカウントであり、大谷選手がこのような発言を行った事実は確認されていません。この件に関する詳細な検証結果を報告します。
大谷翔平選手に関する不法移民発言デマ検証記事のイメージ画像
デマ拡散の経緯と検証対象
問題の投稿は2025年6月10日に英語で投稿され、米ロサンゼルスにおけるトランプ政権の移民政策への抗議デモに関連して、大谷翔平選手が「この国に入国するには正しい方法と間違った方法がある。彼らは法を犯した。彼らは出ていくべきだ」と発言したと主張しました。この投稿は急速に拡散し、2025年6月24日時点で9600回以上のリポスト、762万回を超える表示が記録されました。投稿には、大谷選手を支持するコメントや、引用の正確性を疑う指摘など、様々な反応が寄せられました。本検証では、この「大谷選手が不法移民について言及した」とする投稿の真偽を明らかにします。
情報源はパロディアカウント
このデマの発信源であるXアカウント「@TalkinBasabell_」のプロフィールを確認した結果、このアカウントが野球関連の「パロディアカウント」であることが明記されていました。プロフィールの説明には、ESPNやMLB on FOXなどで紹介された経験があるとしつつも、Jomboy Mediaとは無関係であること、そして決定的に「パロディアカウント」である旨が記載されています。このアカウントは主にMLB選手に関する発言の引用を装った投稿を行っており、その性質上、真実ではない情報が含まれる可能性が高いと言えます。
大谷選手の発言記録なし
2025年6月24日現在、大谷翔平選手自身の公式なSNSアカウントや、所属球団を通じた声明において、拡散した投稿のような不法移民に関する発言や、それに類するコメントは一切確認されていません。また、投稿が主張する具体的な英文コメント「There’s a right way and a wrong way to get into this country. They broke the law- they have to go.」をウェブ上で検索しても、オンライン百科事典や議会の移民関連サイトは表示されるものの、大谷選手の発言として報じている記事や信頼できる情報源は全く見つかりませんでした。さらに、国内外の主要なニュースメディアも、大谷選手が不法移民について言及したという内容を一切報じていません。
海外ファクトチェック機関の判定
アメリカに拠点を置く独立系のファクトチェック団体であるLead Storiesも、この件について検証を実施しています。Lead Storiesは、主要メディアによる報道がないことなどを根拠に、大谷選手が当該発言をしたという主張を「誤り(That’s not true)」と判定しています。彼らの検証記事でも、発信源がパロディアカウントであることが指摘されています。
結論
以上の検証の結果、米大リーグの大谷翔平選手が「不法移民は出ていくべきだ」という趣旨の発言をしたとするX上の投稿は、根拠のないデマであると断定できます。当該投稿は野球関連のパロディアカウントによって作成されたものであり、大谷選手本人による発言、国内外の主要メディアによる報道、信頼できる情報源のいずれからも、そのような事実を確認することはできませんでした。ソーシャルメディア上で拡散する情報の真偽については、常に注意深い確認が必要です。