このところ、中国の香港や日本の大分、函館などで大規模火災が相次ぎ、そのたびに被害の差こそあるものの、全国ネットの報道・情報番組で報じられました。さらに延焼がなかったものも含めると、全国各地の火事が毎日のように報道されています。
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ネットメディアはシンプルなストレートニュースにとどめるケースが多い一方、テレビの報道・情報番組はその大半がトップニュース扱い。これは東京のキー局だけでなく地方局でも同様であり、被害が少ないときでもトップニュース扱いされやすいところがあります。
緊迫する日中関係などの重要なニュースが多数ある中、なぜ「火事のニュース」はトップに扱われるのでしょうか。
■「火事報道」がトップニュースになる理由
さらに番組を見ていると、シリアスな状況がうかがえる一方で、気がかりなのは「あれ? 何かおかしい気がする」「何だろう……この違和感は」という釈然としないムードが漂っていること。
そんな釈然としないムードの正体は何なのか。ここでは火事の報道に漂う違和感の背景を震災や水害との違いを交えながら掘り下げていきます。
まず、なぜ火事は他の重要なニュースを押しのけてトップ扱いになるケースが多いのか。
前提としてあげなければいけないのは、報道機関としての使命。火事は地震や台風などと並ぶ重大な災害の1つであり、だからこそ大規模であるほどその扱いは大きくなりやすいところがあります。
実際に香港や大分の火事は規模が大きいため、地震や台風と同じように連日トップニュースで報じられました。
ただ、たとえ大規模でなくとも、火事は地震や台風などよりも、「視覚や聴覚へのインパクトが強い」ことがトップニュース扱いされやすい理由の1つ。
視覚は、炎や煙、家が燃えて屋根や壁が崩れ落ちる様子、住民が避難する姿、物々しい規制線、懸命な消火活動、無残な焼け跡など。聴覚は、家などが激しく燃える音、叫び声や落胆の声、消防車・救急車のサイレンなどがあり、どちらも視聴者を引きつけるような衝撃があります。
特にまだ鎮火していない状態での生中継は視聴者への訴求度が高く、トップニュース扱いされやすいポイント。ディレクターや現地放送局のアナウンサーではなく、全国放送されている報道・情報番組のメインキャスターやキー局のアナウンサーを現地に派遣するケースも見られます。






