昨年、首都圏を騒がせた闇バイトによる連続強盗事件が新たな展開を迎えています。これまでに実行役や回収役など51人が逮捕されていましたが、警察は今回、事件の首謀者と見られる4人の指示役を特定し、逮捕に踏み切りました。昨年11月初旬に類似事件が突如として止んだ背景には、水面下で進められていた「別の事件」の摘発が捜査を大きく動かしたことがあったとされています。
指示役4名を逮捕、市川市の強盗・監禁事件で立件
警視庁などによる合同捜査本部は12月4日から5日にかけ、昨年10月17日に千葉県市川市の住宅で発生した強盗・監禁事件の首謀者として、福地紘人容疑者(26)、斉藤拓哉容疑者(26)、村上迦楼羅容疑者(27)、渡辺翔太容疑者(26)の4名を強盗致傷と住居侵入の容疑で逮捕しました。
事件は早朝7時頃に発覚。夜勤を終えて帰宅した母親(当時72)が、駐車スペースから軽自動車がなくなっていること、窓ガラスが破られ家の中が荒らされていることに気づき110番通報しました。室内には粘着テープが残され、娘(当時50)が何者かに連れ去られた形跡があったのです。
迅速な捜査の結果、同日午後10時頃、娘は埼玉県川越市内の宿泊施設で男と一緒にいるところを保護されましたが、肋骨を折るなどの重傷を負っていました。その場で男は逮捕され、その後、家に押し入った別の2人の男も逮捕されました。逮捕された実行犯3人はいずれも20代で、お互いに面識はなく、SNSを通じて募集された闇バイトによって集められたとされています。
「シグナル」で操られた実行犯たちと多発する類似事件
実行犯らはSNSで「ホワイト案件」として募集された闇バイトに応募した後、メッセージが自動的に消える通信アプリ「シグナル」を通じて指示役から細かな指示を受けていました。指示役がシグナルで使用していたアカウント名は「パトリック」や「ビリー」など、9つに上るといいます。さらに、実行犯のうち2人は、市川市の事件の前日に千葉県白井市で発生した、70歳代の母親と40歳代の娘2人を縛り上げ、現金約20万円を奪った強盗事件にも関与していたことが判明しています。
この時期、同じような手口の闇バイト強盗事件が首都圏で頻発していたことは多くの人々の記憶に新しいでしょう。昨年8月28日から11月3日までの約3ヶ月間で、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県で計18件もの事件が発生し、被害総額は2000万円以上に達しました。これらの事件は、2022年頃にフィリピンの入管施設から闇バイトを操り凶悪な強盗事件を次々と引き起こした「ルフィグループ」の模倣犯ではないかと騒がれていました。
連続闇バイト強盗事件の首謀者とされる村上迦楼羅容疑者
強盗殺人事件への発展と「匿名・流動型犯罪グループ」
メディアが連日のようにこれらの事件を報じる中、昨年10月15日に神奈川県横浜市青葉区の住宅で発生した事件では、被害者の75歳の男性が手足や顔を粘着テープで縛られた上、全身に暴行を受け死亡するという強盗殺人事件に発展しました。
長らく捜査が続けられていたこれらの凶悪事件の首謀者が、ついに逮捕されたのです。社会部記者は、「合同捜査本部はこれらの犯行を『匿名・流動型犯罪グループ(通称:トクリュウ)』によるものと見ており、押収した750台以上のスマートフォンを解析するなど、総力を挙げて捜査を展開してきました。警視庁は、今回逮捕された4人が18件全ての事件を首謀していたと見ています」と語っています。
警察は、今回の逮捕によって一連の凶悪事件の全容解明が進むことを期待しており、今後の捜査の進展が注目されます。





