物価高騰下の新常識:水筒持参で年間10万円超の節約を実現

物価高騰が続く現在の状況下で、飲み物代を節約しようと「水筒」を持ち歩く人が急増しています。この習慣により年間10万円以上もの大幅な節約が可能となる試算もあり、その波はさらに広がりを見せています。このトレンドは、個人の家計を助けるだけでなく、環境意識の高まりとも連動しています。

物価高対策として水筒を持参する会社員のイメージ物価高対策として水筒を持参する会社員のイメージ

高まる水筒持参の動きと企業の取り組み

水筒を持ち歩く会社員からは、「毎日150円ほどで飲み物を買うのが、生活費を考えると厳しくなってきた」「仕事場には1リットル用のパックと水を入れた水筒を毎日持っていく。会社に着く頃にちょうどいい味になるし、結構節約になっている」といった声が聞かれ、飲み物代の節約が主な動機となっています。

都内にあるアパレルメーカーの「ゴールドウイン」では、社員の水筒利用を積極的に推奨しています。5年前から社内へのペットボトル持ち込みを禁止し、水筒への給水がしやすいウォーターサーバーを設置しました。社員からは、「出社時は空の水筒を持ってきて、到着してから水やお茶を汲んでいる。とても節約になる」「節約になる上、ペットボトルを使わずに済むので環境にも優しい」といった肯定的な意見が出ています。

この取り組みはもともと持続可能性(サステナブル)を意識したものでしたが、節約につながる点が社員に受け入れられ、あっという間に広まりました。ゴールドウイン広報室の栗田淳室長は、「特に夏は暑く、一人あたり2、3本ペットボトル飲料を買うこともあるだろうから、水筒は財布にも優しい。社会環境に関心を持つ社員も増え、社外の方々にもこの輪が広がっている実感がある」と話しています。

具体的な節約効果:年間10万円超の内訳

では、水筒を持ち歩き飲み物を購入しないことで、具体的にどれほどの金額が節約できるのでしょうか?節約アドバイザーの丸山晴美さんによると、ここ数年続くペットボトル飲料の値上げにより、500ミリリットルあたり約150円になっています。これを仮に一日2本購入すると、1年間で合計10万9500円になります。

一方、自宅で麦茶を2リットル煮出して水筒に入れて持ち歩いた場合、年間のコストは約2920円で済むと試算されています。その差額は10万6580円となり、マイボトルの水筒に切り替えることで年間10万円以上もの大幅な節約が可能になるのです。

進化する水筒:節約を後押しする便利機能

水筒人気の高まりとともに、便利機能を備えた新たな商品も次々と登場しています。例えば、シリコーン製で飲み終わった後に丸めてコンパクトに収納できる水筒や、そのまま冷凍庫で凍らせて保冷剤としても使えるタイプがあります。また、ゴム製ストローが一般的な中、丈夫で汚れやにおいが残りにくく、変色しにくいステンレス製ストローが付いた商品も出てきています。これらの機能は、水筒を日常的に、より快適に利用することを後押しし、節約習慣の継続につながっています。

家の中でも水筒を活用?意外なメリット

丸山さんは、水筒を持ち歩くメリットは外出時に限らないと指摘します。「外出時だけでなく、家の中でも水筒を使うことをお勧めします」とのこと。その理由として、冷蔵庫の開閉回数が減ることを挙げ、これにより年間約320円の節電効果が期待できるとしています。水筒の活用は、屋外だけでなく家庭内のエネルギー節約にも繋がる、意外な一面も持っているのです。

物価高騰を背景に急速に普及する水筒持参という習慣は、単なる個人的な節約術に留まらず、企業の取り組みや製品の進化とも相まって、持続可能なライフスタイルや環境意識の高まりとも連動しています。年間10万円を超える可能性もあるその経済的メリットは、多くの人々にとって魅力的な選択肢となっています。

(「グッド!モーニング」2025年6月24日放送分より)テレビ朝日