イスラエルとイラン、緊迫から一転「突然の停戦合意」:その背景にあるものは?日本の物価への影響は

日本時間の6月24日未明、アメリカがイラン国内の核施設を攻撃したことに対する報復措置として、イランはカタールにある米軍基地を攻撃しました。これにより、両国間の緊張は一気に高まったかに見えましたが、そのわずか約6時間後、トランプ大統領が自身のSNSで「イスラエルとイランが停戦で合意した」と突然発表しました。この劇的な状況の変化は、日本の物価にも直結する中東情勢において、多くの疑問を投げかけています。専門家らの見解を交え、この“突然の停戦合意”の背景を探ります。

イスラエル・イラン情勢の経緯と関係性を示す図解イメージイスラエル・イラン情勢の経緯と関係性を示す図解イメージ

これまでの経緯と対立構造のおさらい

そもそも、イスラエルとイランの直接的な対立の背景には、2年前にイスラム組織ハマスがイスラエルに奇襲攻撃を仕掛けたことがあります。歴史的に長く対立してきたイスラエルとパレスチナの紛争を発端とし、イスラエルとハマスの大規模な戦闘が始まりました。この構図において、イスラエルの背後にはアメリカが軍事支援を行い、一方のハマス側はイランが実質的に支援するという代理戦争の側面を持っています。イランは他にもレバノンのヒズボラやイエメンのフーシ派といった武装組織を支援し、地域における影響力拡大を図ってきました。

イスラエルは、自らを支援するアメリカがイランの支援する勢力(ハマス、ヒズボラ、フーシ派など)を攻撃し、イランの地域における影響力が弱まっている今がイランへの直接攻撃の好機だと捉えました。反米・反イスラエルを明確に掲げるイランに対し、イスラエルは攻撃を開始しましたが、当初は大規模なものではなく、例えばミサイル迎撃能力を試すような、いわばイランの防衛能力を探る抑制的なものでした。対するイランの反撃も、イスラエルに本質的な大ダメージを与えるものではなく、限定的な範囲に留まっており、数ヶ月間にわたり両者による様子見のような応酬が続いていたのです。

急激な緊張の高まりと突然の終結

こうした抑制的な応酬が続く中、事態は急変しました。イスラエルはイランの核関連施設を含む数十か所の軍事施設に対し、比較的大規模な攻撃を実施しました。これに対し、イラン側も応酬措置を取りました。そして、6月22日(日本時間)、アメリカがイランの核施設を攻撃したことで、多くの人がアメリカがイスラエルと連携してイランを本格的に潰しにかかったのではないか、と観測しました。しかし、実際のところは、必ずしもイランの体制そのものを崩壊させるような意図ではないと見る専門家もいます。

その後の6月24日未明(日本時間)には、イランがカタールにある米軍基地を攻撃するなど、確かに緊張はピークに達したかのように見えました。しかし、そのわずか数時間後、トランプ前大統領による「停戦合意」の発表という、これまでの流れからは想像もつかない劇的な転換が訪れたのです。

突然の停戦合意がもたらすもの

緊迫した軍事的応酬からわずか数時間での停戦合意という展開は、その背景に何らかの政治的、あるいは水面下での駆け引きがあったことを強く示唆しています。何が両国を、あるいは関係国を動かし、この突然の合意に至らせたのか。詳細な情報が待たれますが、中東情勢の不安定さは、原油価格の変動などを通じて、遠く離れた日本の物価にも影響を与えうる重要な要因です。今回の突然の停戦が、中東地域、ひいては世界の安定にどう繋がるのか、あるいは一時的なものに過ぎないのか、今後の動向が注視されます。

【参照元】
Yahoo!ニュース (MBSニュース)