長野県大町市の山林で発生した痛ましいクマ襲撃事件により、タケノコ採りをしていた男性1人が死亡、別の1人が軽傷を負いました。この事件を受け、地元自治体は警戒を強化し、住民や入山者への注意喚起を徹底しています。
大町市山林で発生、タケノコ採り中に…
6月22日午前10時ごろ、大町市八坂地区の山林内で、46歳と70歳の男性2人がクマに襲われました。被害に遭われた男性から「タケノコ採りに竹やぶに入ったら、クマに襲われた」と自ら消防に通報がありました。
警察や消防のその後の調べによると、46歳の男性は顔面をかまれるなど重傷を負い、病院へ搬送されましたが、搬送先の病院で死亡が確認されました。死因は多発外傷による出血性ショックとみられています。また、一緒にいた70歳の男性は腕をかまれましたが、軽傷とみられています。
襲撃したクマは成獣と見られていますが、警察などが周辺を捜索したものの、現在まで発見には至っていません。このため、現場付近の住民に対して、最大限の注意を払うよう呼びかけが行われています。
市と猟友会が捕獲用のおりを設置、警戒情報も発令
人身被害という深刻な事態を受け、大町市と地元の猟友会は、事件発生当日の22日午後には、現場周辺の山林にクマ捕獲用のおりを複数設置しました。
また、大町市は22日から1週間の期間、「クマ出没警戒情報」を発令しました。市は、この期間中の入山者に対し、クマの接近を防ぐため、鈴などを鳴らしながら注意して行動するよう呼びかけています。市の担当者は、入山する際には自身の存在を音で知らせることの重要性を強調し、注意喚起だけでなく、必要に応じた捕獲や生息環境の整備といった対策も進めていく必要があると述べています。23日朝からは、市の職員などが現場周辺のパトロールを実施し、警戒にあたっています。
長野県大町市のクマ襲撃事件現場周辺の山林の様子
県も「出没注意報」を発令、増加する目撃情報
なお、長野県全体としても、今回の事件に先立つ6月19日には、大町市を含む北アルプス地域でのクマの目撃件数が増加傾向にあることを受け、「ツキノワグマ出没注意報」を発令していました。
現在、県内ではこの地域に加え、木曽地域、長野地域、北信地域にも6月末まで「出没注意報」が継続して出されており、広範囲での注意が必要な状況が続いています。
今回の痛ましい事件を受け、地元自治体は警戒を強めており、市職員らによるパトロールで監視を続けています。入山者や付近住民は最大限の注意が必要です。
Source: 長野放送