参政党、都議選での躍進と「外国人政策」への注目集まる背景

2024年6月22日に投開票が行われた東京都議会議員選挙で、参政党は擁立した4人のうち3人が当選し、議席を獲得しました。特に世田谷区、練馬区、大田区での当選は、既存政党への不満を持つ有権者の受け皿としての同党の存在感を改めて示す結果となりました。この都議選の結果を受け、「参政党」と「外国人」というキーワードをインターネット上で検索すると、同党の外国人政策に対する様々な意見や関心が寄せられていることがわかります。中には「外国人の勝手にさせるわけにはいかない。参政党などの保守党野党で政権を取るべき」「日本人ファースト! 外国人ばかりにいい顔をする政府はいらない。参政党応援しています」といった、同党の主張に賛同する声が見られます。

参政党はすでに3人の衆議院議員と1人の参議院議員を擁しており、いわゆる“泡沫政党”とは一線を画しています。しかし、都議選での議席獲得を大手メディアが「躍進」と驚きをもって報じた背景には、これまでの参政党に「トンデモ政党」という印象が少なからずあったことが影響しています。現在でも反ワクチンを重要公約の一つとし、党代表である神谷宗幣・参議院議員が天皇陛下に関する発言で批判されたことも記憶に新しい出来事です。

参議院選挙が7月3日に公示され、20日に投開票が行われるのを前に、参政党は公式サイトなどで公約を発表しています。公式サイトでは冒頭に「日本人ファースト」を大きく掲げ、公約の「3つの柱と9つの政策」の一つとして「行き過ぎた外国人受け入れに反対」を明確に打ち出しています。
2024年東京都議選で3議席を獲得した参政党の神谷宗幣代表2024年東京都議選で3議席を獲得した参政党の神谷宗幣代表

具体的な外国人政策として、外国人総合政策庁の新設、外国人による不動産購入の制限、外国人留学生への奨学金制度の適正化などを訴えています。参政党は以前から「移民受け入れより、国民の就労と所得上昇を促進」を重点政策に掲げており、一貫して在日外国人に対する厳しい姿勢を示していることが、これらの政策からも読み取れます。

都議選後、参政党の在日外国人に対する厳しい主張がインターネット上で拡散されると、この政策に関心を示す有権者が増加しました。特に在日中国人コミュニティも参政党の動向に注目している様子が見られます。SNS上には「参政党は外国人敵視の政策で注目を集めている。非常に危険だ」「自民党を応援したい」「まず日本に帰化した中国人から団結して参政党に立ち向かうべきだ。しかし団結の苦手な中国人には無理かもしれない」など、中国語で書かれた投稿も複数見受けられ、懸念や批判の声が上がっています。
2023年、参政党の演説会で騒ぎが起きた様子(過去の「トンデモ」印象に関連)2023年、参政党の演説会で騒ぎが起きた様子(過去の「トンデモ」印象に関連)

政治アナリストの伊藤惇夫氏は、19世紀フランスの思想家アレクシ・ド・トクヴィルの「大政党は社会を覆すが、小政党は社会を扇動する」という言葉を引用しつつ、参政党の現状を分析しています。伊藤氏は、参政党が国会に複数の議席を持つ「突然のブームではない」存在である点を指摘します。大手メディアが都議選で同党に注目したのは、既存政党への不満や不信感を抱く有権者の受け皿として存在感を増しているためだと述べています。まさにトクヴィルの言葉の通り、在日外国人に対する厳しい姿勢を打ち出すことで社会を「扇動」し、その結果として、将来に対する漠然とした不安を抱える有権者の支持を集めていると分析されています。

結論として、参政党の東京都議選での議席獲得は、同党の掲げる「行き過ぎた外国人受け入れに反対」という政策が、既存政党に不満を持ち、社会への不安を抱える一部の有権者に響いた結果と言えるでしょう。同党が今後、日本の政治情勢においてどのような役割を果たしていくのか、その動向が注目されています。

[Source link] (https://news.yahoo.co.jp/articles/df1b23dc894b0f52dde98d27b659fed512a5176c)