60代夫婦の貯蓄事情:平均・中央値と「3000万円以上」達成率、年金受給額の実態も詳解

初夏の風が心地よく感じられる6月。ボーナスの時期を迎え、家計や資産について改めて見直す方も多いのではないでしょうか。特にシニア世代にとっては、年金だけでは不足する支出や、医療・介護など万が一の備えへの不安も重なり、60代 二人以上世帯における貯蓄の重要性が高まっています。とはいえ、「他の人はどれくらい貯蓄しているのか」「平均はどのくらいなのか」というのは気になるところでしょう。本記事では、60歳代・二人以上世帯で貯蓄3000万円を保有している世帯の割合や、年金額の実態を解説していきます。

65歳以降の年金受給額の実態

一般的に、老齢年金は65歳から受け取りが始まります。厚生労働省が公表した「令和5年度厚生年金・国民年金事業の概況」によると、65歳以降の年金額は、国民年金が月に5万円台、厚生年金が14万円台となっています。もちろん、老後の暮らしを考えるうえでは、年金だけでなく貯蓄がどれだけあるかも大切なポイントです。

60代夫婦の貯蓄額:平均と中央値、そして格差

では、実際に二人以上の世帯ではどのくらいの貯蓄があるのでしょうか。J-FREC 金融経済教育推進機構が公表する「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」より、60歳代・二人以上世帯の貯蓄(金融資産を保有していない世帯を含む)を確認します。※貯蓄額には、日常的な出し入れ・引落しに備えている普通預金残高は含まれません。

60歳代貯蓄額を見てみると、平均は2033万円で中央値は650万円となっています。貯蓄3000万円以上ある世帯は全体の20.0%と、5世帯に1世帯の割合でした。一方では、貯蓄ゼロ(金融資産を保有していない)という世帯も20.5%と、こちらも約2割にのぼります。このデータからも、老後の貯蓄額にはかなり大きな差があることがわかります。

J-FREC調査に基づく60代二人以上世帯の貯蓄額分布円グラフ、貯蓄3000万円以上の割合強調J-FREC調査に基づく60代二人以上世帯の貯蓄額分布円グラフ、貯蓄3000万円以上の割合強調

老後資金準備の重要性

リタイア後は、医療費や住まいの修繕など、思いがけない出費が発生することもあります。そうした事態に備えるためにも、現役のうちから計画的に貯蓄をしたり、資産運用を検討したりすることが大切です。公的な年金だけでなく、自身の貯蓄や金融資産が、老後資金の安心感を左右する重要な要素となります。

結論として、60代 二人以上世帯貯蓄額には大きな開きがあり、平均値だけを見て安心することはできません。自身の状況を正確に把握し、計画的な貯蓄や資産形成に取り組むことが、不確実な時代における老後資金不安を軽減する鍵となるでしょう。

参考文献

  • 厚生労働省「令和5年度厚生年金・国民年金事業の概況」
  • J-FREC 金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査(2024年)」