アメリカのトランプ前大統領による関税政策は、再び世界経済の悪化や物価上昇の懸念を引き起こしています。この動きは、日本での生活にも影響を与え、特に将来の年金生活や現在の家計に対する不安を高めています。本記事では、現在の物価上昇率や、老後の生活費がどのくらいかかるのか、そして年金だけで生活できるのかという多くの人が抱える疑問について解説します。
現在受け取れる年金額は?年金だけで生活できるのか
日本の公的年金制度において、現在受け取れる年金額はどの程度でしょうか。日本年金機構の発表によると、2025年4月分(6月支払い分)からは、2024年度に比べて原則1.9%の引き上げが実施されます。具体的には、昭和31年4月2日以降に生まれた方の場合、年金額は以下のようになります。
- 国民年金(老齢基礎年金、満額):6万9308円
- 厚生年金(夫婦2人、標準的な年金額):23万2784円
この厚生年金の金額は、平均的な収入(月額換算45万5000円の標準報酬)で40年間就業した夫婦が受け取る老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額)を合わせた水準です。
高齢者世帯の平均的な支出は?
次に、高齢者世帯の月々の支出を確認します。総務省の家計調査(2024年)によると、2人以上の世帯のうち、世帯主が65歳以上の家庭における月々の平均消費支出は以下の通りです。
- 65~69歳:31万626円
- 70~74歳:27万572円
- 75~79歳:25万6770円
- 80~84歳:23万3014円
- 85~89歳:22万8448円
仕事を完全に引退したばかりの60代後半では支出が30万円を超えますが、年齢を重ねるにつれて減少する傾向が見られます。
年金収入と高齢者世帯の支出の差を示すイメージ
現在の物価上昇の状況
物価上昇の現状を見ていきます。総務省が公表している「2020年基準 消費者物価指数」によると、2020年の総合指数を100とした場合、2025年5月時点の物価指数は111.8となりました。これは前年同月と比較して3.5%の上昇です。
特に、食料品は124.4と顕著な上昇率を示しており、続いて家具家事用品が122.1、光熱・水道が121.2となっています。過去5年間で見ると、食料品は20%以上も値上がりしていることがわかります。
まとめ
これらのデータから、標準的な夫婦の年金受給額である月額23万円台は、特に60代後半や70代前半の高齢者世帯の平均支出額と比較すると、不足する可能性が高いことがわかります。さらに、現在の物価上昇は、食料品などを中心に生活費を押し上げており、年金だけで日々の暮らしを維持することがより困難になっている現実を示しています。トランプ氏の関税政策のような国際的な経済要因は、今後も物価に影響を与える可能性があり、老後の生活設計において、年金以外の備えの重要性が増していると言えるでしょう。