ウクライナヘルソン州西部沖でウクライナ軍がロシアの船艇を撃沈。燃えがる船体を捉えた映像を国防省が公開した
ウクライナ政府は、ロシア黒海艦隊に所属する船艇をウクライナ軍が撃沈したと発表した。ウクライナ国防省が公開した映像には、ヘルソン州の西部沖を航行していた同船が撃沈される瞬間が映っている。
【動画】燃え盛るロシアの「黒海艦隊」…ウクライナの攻撃で大爆発、「沈みゆく姿」を捉えた映像を公開
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がウクライナに全面侵攻して以来、黒海艦隊は繰り返し標的とされてきた。
ウクライナのドローンと巡航ミサイルによる艦隊攻撃の成功を受け、ロシアはそれ以上の損失を避けるため、占領しているクリミア半島の港から黒海艦隊の一部を移動させている。今回ウクライナ軍に攻撃された船は、陸上部隊を輸送中だった。
ウクライナ国防省は6月24日、「敵の部隊を乗せたロシア黒海艦隊の船がまた1隻、ヘルソン州西部沿岸沖を移動中に破壊された」とXで発表。国防省は、ウクライナ海軍が捉えたこの攻撃の映像も公開している。
夜間、上空から撮影された25秒の映像は、黒海艦隊の船が攻撃されて船体から大きな炎が上がる瞬間を捉えたとされる。攻撃の直後、船体から煙が立ち上る様子が見える。
ウクライナ海軍もXでこの攻撃を伝えている。「海軍部隊が昨夜、『シャヘド(Shahed)』20機とロシア黒海艦隊の船艇1隻を、ウクライナ海軍の戦力と手段を使って破壊した。敵のカミカゼドローン『シャヘド136』20機が撃墜され、ロシア黒海艦隊の船艇1隻が破壊された」
ロシア侵攻が始まって以来「28隻目の撃沈」
ウクライナのボランティアが2014年に創刊した独立系英語ニュースサイト「ユーロマイダン・プレス(Euromaidan Press)」によると、ロシアの船艇がウクライナに撃沈されたのは、ロシアの全面侵攻が始まって以来、これで28隻目だった。この中にはロシアの旗艦「モスクワ(Moskva)」も含まれる。
黒海艦隊の旗艦だったミサイル巡洋艦モスクワは、今回の戦争が始まって間もなくウクライナ軍に撃沈され、プーチンに屈辱的な打撃を与えた。
ウクライナの軍事専門メディア「ディフェンス・エクスプレス(Defense Express)」によると、ロシアは現在、モスクワをはるかにしのぐ大型艦の建造を急いでいる。
4月に同メディアが掲載した衛星画像には、プロジェクト23900イワン・ロゴフ級強襲揚陸艦2隻のうち1隻の建造が進む様子が映っていた。同艦はヘリコプター15機を含めて軍事装備を最大90基搭載できると伝えられている。
現在建造中のイワン・ロゴフ級艦ははるかに大型になると報じられており、今回の戦争で黒海艦隊の損失が相次ぐ中、ロシアが海軍の威信を取り戻そうとする狙いが見える。
イギリス国防省は2月、ウクライナがロシア黒海艦隊を「著しく弱体化させた」と指摘していた。
(翻訳:鈴木聖子)
イサベル・バン・ブルーゲン