参院選前の国民一律2万円給付案、なぜ今?世論調査で判明した「国民の本音」

7月参院選を前に、自民党から突如として国民一律2万円の現金給付案が浮上した。その額の少なさや、選挙対策の色合いが濃いことに対し、世間からは冷ややかな声が上がっている。給付案の背景には何があるのか、そして国民が本当に望む経済政策は何なのか。世論調査の結果とともに、その実効性や政治的な意図について掘り下げる。

政策の詳細と公明党との連携

石破茂総理は6月13日、国民すべてに一律2万円を支給し、加えて住民税非課税世帯の大人とすべての子供にはさらに2万円を加算する現金給付案を、自民・公明両党の公約に盛り込むよう指示した。一方、かねてより期待の声が高かった消費税減税については、財源確保の難しさから見送りの方針が示された。この現金給付案は、夏の参院選に向けた経済対策の柱として打ち出された形だ。

世論調査が示す国民の冷ややかな反応

週プレが有権者1000人を対象に実施したアンケート調査では、この現金給付案について約半数が反対(Q1)と回答するなど、世間の反応は賛否がほぼ真っぷたつに割れた。反対派の意見(Q2、Q3)を見てみると、「選挙対策の印象が強い」との回答が反対派の4分の1を占め、「一時的な給付では根本的な解決にならない」という声も約3割に上った。これは、過去にも同様の現金給付案が批判を受けて撤回された経緯があるにも関わらず、再び浮上したことへの不信感の表れと言える。

週プレ世論調査で、国民一律2万円給付案への賛否が51対49でほぼ半々に割れた結果を示す画像。反対派の約半数が消費税減税を望んでいることが示されている。週プレ世論調査で、国民一律2万円給付案への賛否が51対49でほぼ半々に割れた結果を示す画像。反対派の約半数が消費税減税を望んでいることが示されている。

国民が本当に求める経済政策

では、現金給付に反対する人々はどのような経済政策を求めているのだろうか。Q4の調査結果では、「消費税の減税」(54.4%)が最も多く、「所得税や住民税の減税」(43.4%)、「社会保険料の減免」(35.2%)と続いた。これらの結果は、一時的な現金給付よりも、恒久的な可処分所得の増加に繋がる税負担や社会保険料の軽減を国民が強く望んでいることを示唆している。「給付額の増額」を望む声がわずか5.3%に留まったことからも、国民が現金給付自体よりも、より持続性のある経済対策を求めている現状が浮き彫りになった。

【図表】週プレ世論調査Q4「政府にはどのような経済政策を求めますか?」のグラフ。消費税減税や所得税・住民税減税など、国民が希望する経済政策の内訳が示されている。【図表】週プレ世論調査Q4「政府にはどのような経済政策を求めますか?」のグラフ。消費税減税や所得税・住民税減税など、国民が希望する経済政策の内訳が示されている。

なぜ現金給付案が再び浮上したのか?舞台裏

ジャーナリストの鈴木哲夫氏は、現金給付案が再び浮上した背景について解説する。石破総理は当初、消費税減税も選択肢として言及していたという。しかし、消費税は国の重要な税収源であり、一度引き下げると元に戻すのが困難であることから、財務省や自民党内の「族議員」からの強い反対に直面した。さらに、石破総理には高額療養費制度の上限額引き上げ見送りに関して財務省に「借り」があったことも、消費税減税が見送られ、現金給付が選択された要因の一つになったとされる。このように、政策決定の裏には、国民の声とは異なる政治的・財政的な力学が働いていることがうかがえる。

まとめ

今回の国民一律2万円の現金給付案は、参院選を控えた自民党が打ち出した経済対策だが、世論調査を見る限り、国民の多くは一時的な給付よりも、消費税減税や所得税・住民税減税といった恒久的な負担軽減を強く望んでいる。政策決定の背景には、財務省や党内の意向が大きく影響しており、国民のニーズと乖離している可能性が指摘される。選挙対策としての側面が強いとの批判も根強く、今後の政策の行方には依然として注目が集まる。

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