現代の日本で欧米型の食事を好む人も増えていますが、専門家は栄養豊富で健康的な「日本食」が、心身両面の健康に良い影響を与えることを指摘しています。特に、健康で活動的なシニアライフを送るためには、改めて日本食の価値を理解することが重要です。
食事パターンとは?その重要性
食事は様々な食品の組み合わせであり、含まれる栄養素も体内で複雑に作用します。そのため近年では、食事全体を包括的に評価する手法として、複数の食品摂取量から「食事パターン」を抽出する研究が注目されています。この食事パターンは、特定の食品摂取傾向と個人の健康状態の関連を明らかにするのに役立ちます。
ヘルシー日本食パターンの特徴
日本人を対象とした研究では、野菜、きのこ、海藻、大豆製品、魚、果物の摂取が多い食事パターンが主要な一つとして特定されています。これは一般的に考えられている「ヘルシーな日本食」と一致しており、このパターンを「ヘルシー日本食パターン」と呼んでいます。このパターンに強く当てはまる人々は、生活習慣病や身体機能障害のリスクが低いことが報告されています。
彩り豊かなヘルシー日本食のイメージ写真
栄養摂取の評価:DRIsスコアとの関連
厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(DRIs)」は、各栄養素の適切な摂取量を示しています。食事パターンが栄養摂取にどのような影響を与えるかを評価するため、私たちは日本人の食事摂取基準を基に、ビタミンやミネラルを含む微量栄養素の摂取状況を数値化した「DRIsスコア」を用いました。
早稲田大学研究で判明した事実
40歳以上の男女を対象にしたWASEDA’S Health Studyのデータを用いて、「ヘルシー日本食パターン」と「DRIsスコア」の関連を検討しました。その結果、男女ともにヘルシー日本食パターンへの関与が高いほど、DRIsスコアも高いことが明らかになりました。これは、ヘルシー日本食パターンを実践している人々が、幅広い微量栄養素を適切に摂取できていることを示しており、この食事が栄養バランスの面で優れていることを裏付けるものです。
結論
「ヘルシー日本食パターン」は、野菜、海藻、魚などの栄養豊富な食品をバランス良く摂取できる食事スタイルです。このパターンは、生活習慣病や身体機能障害のリスク低減と関連するだけでなく、日本人の食事摂取基準に基づいた栄養素の適切な摂取にも寄与することが研究で示されています。健康寿命を延ばし、質 QOL を維持するためには、この伝統的かつ科学的に裏付けられたヘルシーな日本食の価値を見直し、日々の食生活に取り入れることが推奨されます。
参考資料
- 樋口 満『健康寿命と身体の科学 老化を防ぐ、50歳からの「運動・食事・習慣」』(講談社)
- WASEDA’S Health Study
- 日本人の食事摂取基準(厚生労働省)