「少しくらいなら……」という我慢が、やがて限界を迎える――。
近年、集合住宅で増えているのが、騒音やマナー違反をきっかけにした隣人トラブルだ。とくに、子育て世代にとっては、日々のささいなストレスが深刻な悩みへと発展するケースも少なくない。
【画像】「もう、呆れるしかありませんでした」近隣トラブルに怒り
「最初は、ちょっとだけなら……と見逃していました」
そう話すのは、当時生後数か月の赤ちゃんを育てていた吉川里奈さん(仮名・30代)。騒動の舞台は、彼女が住むアパートの玄関前――そこに、ある日から連日、見知らぬ車が無断で止まるようになった。
■深夜のエンジン音と「どかされたカラーコーン」
吉川さんは、都内のアパートで、夫と生まれたばかりの赤ちゃんと3人での新生活をスタートさせたばかりだった。ある日の夕方、自宅の玄関を開けると、見知らぬ車が止まっていたという。
そこは、「緊急車両・配達車両以外は進入禁止」と明記されたスペースで、住人の駐車場ではなかった。
「宅配業者が一時的に止めることはあります。でも、その車は翌日も、さらにその次の週にも、また同じ場所に止まっていたんです」
車の持ち主は、アパートの住人か、その訪問客らしい……。週末には、長時間アイドリングしたまま停車し、友人らしき人物をアパートの前で待たせる姿も見かけたという。そして、とくに困ったのは深夜だった。
「夜の10時を過ぎてもエンジンをかけたまま、30分近く止まっている日もありましたね。せっかく寝かしつけた赤ちゃんが、その音で何度も起きてしまって……」
しかも、車が塞いでいるのはアパートのメイン出入り口だ。ベビーカーが通れず、首のすわっていない赤ちゃんを抱きながらベビーカーを持ち上げて移動するという「二重苦」に、吉川さんのストレスは限界を迎えていた。
「育児中で心身ともに余裕がない時期だったので、正直その光景を見るだけでイライラしてしまって。いつか怒鳴ってしまうんじゃないかと、自分が怖くなるほどでした」