参院選比例代表、参政党が立憲民主党を上回る躍進:日本の政治に「地殻変動」か

参院選(20日投開票)の比例代表において、突如として注目を集めた「日本人ファースト」を掲げる参政党が、得票数で立憲民主党を僅差ながら上回る結果を出しました。これにより、自民党、国民民主党に次ぐ第3位に躍進し、その存在感を強く示しています。この結果に対し、政治思想史家の河野有理法政大学教授は21日、自身のX(旧ツイッター)で「『自民党より左』の大結集で政治を変えるという戦後政治の<夢>がついに最終的についえた」との見方を示し、「極めて大きな地殻変動の現れ」であると指摘しました。

参政党躍進と「戦後政治の夢」の終焉

今回の参院選比例代表で、参政党は742万5053票(得票率12.6%)を獲得。対する立憲民主党は739万7456票(同12.5%)にとどまり、参政党が2万7597票差で上回る結果となりました。国民民主党は762万492票(同12.9%)で、野党3党が約13%弱の得票率でほぼ横並びとなる異例の事態が生じています。

河野教授はXで、参政党に対する世間の評価について、「『参政党支持している人は周りにはいない、いたら縁を切る』みたいな選挙前によくいた人たち、よほど世界が狭いか、相手が大人で話を合わせてもらっているのだろうなという感じ」と述べ、参政党支持の広がりが過小評価されていた可能性を指摘しました。この結果は、長らく日本の政治を特徴づけてきた「自民党に対抗する左派勢力の大結集」という構図が、もはや機能しないことを示唆しているのかもしれません。
参院選後の記者会見で並ぶ立憲民主党の野田佳彦代表と参政党の神谷宗幣代表参院選後の記者会見で並ぶ立憲民主党の野田佳彦代表と参政党の神谷宗幣代表

立憲民主党の現状と課題

一方で、立憲民主党は、改選22議席に対して選挙区15議席、比例代表7議席の計22議席を獲得し、議席数を横ばいに維持する結果となりました。しかし、この結果に対し、河野教授は「今回で伸びないならいつ伸びるのかという話であり、相当に厳しい結果なのではないだろうか」とXで指摘し、「執行部がこれを厳しい結果と思えていないなら本当に将来がなさそうである」と厳しく評価しています。

この河野教授の投稿には、かねてより野党共闘の強化に尽力してきた政治学者の山口二郎法政大学教授もXで賛意を示し、「これ、ほんと。私の政治学者人生も終わったということ」とまで述べました。山口教授は立憲民主党のベテラン議員に対し、もはや後進の育成に注力すべきとの考えを示唆し、現状を「実質的な敗北と、厳しく総括すべき」と訴えています。さらに、「私自身も、かつて民主党政権を担った政治家が最後にもう一花咲かせてほしいと思って応援したが、民意との乖離(かいり)が極めて大きいことを痛感する」と、現在の民意との隔たりに危機感を表明しました。
参政党への評価を巡る議論で引用された前川喜平・元文科次官の物議を醸したX投稿参政党への評価を巡る議論で引用された前川喜平・元文科次官の物議を醸したX投稿

今後の日本の政治の行方

今回の参院選比例代表の結果は、日本の政治が新たな局面に入ったことを示唆しています。特に、参政党の躍進と立憲民主党の停滞は、既存の政治勢力やその支持基盤に大きな変化が訪れていることの証左と言えるでしょう。専門家が指摘する「地殻変動」は、これまでの「戦後政治の夢」が終わりを告げ、有権者の意識や投票行動が多様化している現状を反映しています。今後、野党勢力、特に立憲民主党がこの厳しい現実をどのように受け止め、民意との乖離を埋め、新たな活路を見出すかが、日本の政治の未来を左右する重要な鍵となるでしょう。