夏の参院選:九州・各党の情勢と当落予測を政治ジャーナリストが分析

来る夏の参院選は、事実上の「政権選択選挙」としての性格を帯びています。与党が参議院で過半数を維持できるかが焦点となる中、政治ジャーナリストの角谷浩一氏と青山和弘氏が全国の選挙区情勢を詳細に分析しました。本稿では、その分析に基づいた九州地方の当落予測と、主要政党の現状に焦点を当てます。

九州地方・1人区の戦況と注目点

九州地方を含む1人区では、自民党がどこまで議席を積み増せるかが全体の勝敗を左右する鍵となります。特に鹿児島選挙区は、自民党の森山裕幹事長の地元であり、党として絶対に落とせない区と位置づけられています。しかし、引退を表明した自民党の尾辻秀久前参院議長の三女である無所属の尾辻朋実氏が出馬しており、公募で党の公認を得られなかった経緯から、県内にしこりが残っています。この状況下で、尾辻朋実氏が競り勝つ可能性も指摘されています。山梨や新潟のような接戦が予想される区で、自民党が次々と議席を奪取できれば、全体として自民党が快勝するシナリオも現実味を帯びてきます。

各党の戦略と課題:立憲・共産の連携と自民の地域戦略

立憲民主党と共産党は、1人区での候補者一本化を進めており、調整が実現すれば自民党にとって大きな脅威となり得ます。しかし、この連携があまりに前面に出ると、「立憲共産党」という批判を招きかねず、立憲民主党の支持層離れにつながるリスクも抱えています。立憲民主党は複数区では一定の粘り強さを見せると予測されていますが、党全体の勢いは欠いている状況です。一方、自民党は西日本の1人区では比較的盤石な戦いを展開できると見られています。テコ入れが必要となるのは、立憲民主党が強い東北地方です。自民党の公約にコメの安定供給を目的とした農家支援策が盛り込まれる背景には、選挙戦における東北対策という側面も含まれています。

選挙戦の争点:政治とカネから物価高へ

今回の参院選における主要な争点は、有権者が何を最も重視するかによって変化します。政治ジャーナリストは、自民党にとっての「救世主」として小泉農水大臣(注:当時の役職または話題の中心人物を指す可能性あり、文脈上コメ政策に関連)を挙げ、国民の意識を「政治とカネ」の問題から「コメ」という生活に直結するテーマへと見事に誘導したと分析しています。都議選では裏金問題が大きく影響しましたが、その逆風は都議選までで終わるという見方もあります。政党支持率が回復傾向にあった自民党内には一時余裕ムードが漂いましたが、都議選の結果は冷や水を浴びせる形となりました。現状では、自民党の比例代表での獲得議席は13から14程度にとどまるのではないかと予測されています。

自民党の議席予測と党内情勢

自民党は、選挙区と比例代表を合わせて50議席近くを獲得できれば「善戦」と評価されると考えられています。よほどの選挙戦での大失敗がない限り、党内で石破氏(注:当時の主要政治家、例えば幹事長や有力派閥リーダーなどを指す可能性あり)への責任論が高まる「石破おろし」が加速することはないだろうと予測されています。参院選全体では、「政治とカネ」よりも物価高対策など、国民の生活への不安がより大きなテーマとなる可能性が高いです。有権者が各党の掲げる給付金や減税などの経済政策をどのように評価するかが、最終的な当落を左右する重要なポイントとなるでしょう。

参院選に向け、各党の戦略は最終局面に入っています。特に1人区の動向、主要政党の連携の行方、そして有権者が最も切実に感じている経済問題への対応が、選挙結果を大きく左右する要素となりそうです。

Source: https://news.yahoo.co.jp/articles/4bc78f7e7bc753359ab97121d1c6a8e8589fab93