韓国新興宗教「新天地」総会長、信者動員し違法交通遮断か? 実態をJTBCが報道

韓国の新興宗教「新天地イエス教証しの幕屋聖殿」(新天地)のイ・マンヒ総会長が、自身の移動のため信者を動員し、違法に道路交通を遮断していた実態が明らかになりました。これは、韓国の放送局JTBCが6月25日に関係者へのインタビューをもとに報じたものです。報道によると、イ総会長は車を停止させることなく目的地へ到着するため、組織的な交通妨害を行っていたとされています。この問題は、宗教団体の活動における法令順守と社会への影響という観点から注目されています。

違法行為の背景と「自家製」護衛隊の結成

イ・マンヒ総会長がこのような違法行為に及んだ背景には、過去の経験と費用問題があると指摘されています。イ総会長は以前、フィリピン滞在中に警察による有料の護衛サービスを利用して移動した際、車窓から手を振るなどして満足げな様子を見せていたといいます。この時の経験を韓国国内でも再現したいと考えたイ総会長でしたが、韓国では警察の護衛を個人的に受けることはできませんでした。そこで、私設の交通警護業者に依頼することを検討したものの、費用が非常に高額であったことから断念。代わりに、新天地内部で信者による「自家製」の護衛チームを編成するに至ったと、ある新天地幹部は証言しています。この幹部によると、業者に依頼すれば多額の費用がかかるため、「奉仕交通部」という教団内の部署が各支部に護衛車両を用意させ、運転技術に長けた信者を選んでチームを組んだとのことです。

韓国新興宗教「新天地」総会長イ・マンヒ氏が車から手を振る様子。違法交通遮断の報道関連韓国新興宗教「新天地」総会長イ・マンヒ氏が車から手を振る様子。違法交通遮断の報道関連

具体的な交通遮断の手口と影響

元護衛担当者らの証言からは、その違法行為の具体的手口が明らかになっています。イ・マンヒ総会長は、自身の車列が信号などで途切れることを許さなかったといい、車列を維持するために一般車両の通行を妨害していたとのことです。これは、車列が分断されるたびに車両を停止させ、再度つなぎ直す必要があったためです。また、元護衛担当者は、その移動は「ほとんど大統領の移動のようだった」と語っており、例えばUターンする際には、直進してくる他の車両を護衛車2台で意図的に塞ぎ、イ総会長の車両をUターンさせていたと詳細を明かしました。さらに、高速道路や一般道路を問わず、イ総会長の車は決して停止せず、赤色や青色のサイレンを取り付けて走行していたため、一般の人々は「VIPが通っているのか」と誤解していたとも証言しています。これらの行為は、明確な道路交通法違反に当たります。信者を動員した組織的な妨害行為は、交通の流れを阻害するだけでなく、一般市民に危険を及ぼす可能性も指摘されています。

まとめ

今回のJTBCの報道により、韓国の新興宗教「新天地」のイ・マンヒ総会長が、信者を動員して自身の移動のために組織的かつ違法な交通遮断を行っていた実態が浮き彫りとなりました。フィリピンでの経験に触発され、高額な業者費用を避けるために「自家製」の護衛チームを組織し、信号無視や一般車両への妨害、さらにはサイレンの使用といった手法を用いていたとされます。これは、宗教団体の指導者の行動が社会のルールや他者の安全を軽視している可能性を示すものであり、今後の当局の対応や教団側の説明が注目されます。

KOREA WAVE/AFPBB News