日本政府、中国の抗日戦争勝利80周年記念行事への不参加を欧州・アジア各国に呼びかけ

日本政府が、中国・北京で9月3日に予定されている「抗日戦争勝利80周年記念行事」および大規模な軍事パレードに関して、欧州やアジアの各国政府に対し、参加を見合わせるよう外交ルートを通じて要請していたことが、複数の外交筋により8月24日、明らかになりました。この動きは、中国側が主導する歴史認識が国際社会で広がるのを抑える狙いがあるものと見られています。

中国・北京で行われる抗日戦争勝利80周年記念軍事パレードに向け訓練中の中国人民解放軍兵士ら中国・北京で行われる抗日戦争勝利80周年記念軍事パレードに向け訓練中の中国人民解放軍兵士ら

中国の記念行事とその国際的な呼びかけ

中国は今回の一連の記念行事を「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利80周年」と銘打ち、国内外に広く発信する意図を示しています。これに関連し、8月31日から9月1日には中国・天津で上海協力機構(SCO)首脳会議が開催される予定であり、ロシアのプーチン大統領もこの会議に出席後、北京での記念行事と軍事パレードに参加すると見られています。中国は、各国首脳や国際機関の要人を幅広く招待し、イベントの国際的な権威を高めようとしています。

日本政府の外交努力と背景にある懸念

日本政府は在外大使館などを通じ、参加を検討している各国に対し、中国の記念行事が過去の歴史に過度に焦点を当て、反日的な色彩が強い点を説明しています。その上で、各国首脳がこうした行事に参加することについては、慎重な判断を促しています。この背景には、中国国内で日中戦争中の「南京大虐殺」を題材にした映画が公開されるなど、反日感情が高まりやすい状況が続いていることへの懸念があります。日本としては、国際社会における客観的かつバランスの取れた歴史認識の共有を重視しており、特定の歴史観が一方的に強調されることを警戒しています。

結論

今回の日本政府の外交的働きかけは、歴史問題を巡る日中間の認識の隔たりが依然として大きいことを浮き彫りにしています。国際社会が中国の記念行事にどう対応するかは、今後のアジア太平洋地域の外交力学、特に日中関係に少なからず影響を与える可能性があります。歴史認識というデリケートな問題が、国際的な政治・外交舞台でどのように扱われるか、引き続き注目が集まります。

参考文献