生活に困窮する母子世帯でも、生活保護を受けられるのは3割以下


<全国の年収200万円未満の母子世帯の生活保護受給率は28%しかなく、受給率が10%に届かない県もある>

【都道府県別一覧】年収200万未満の母子世帯の生活保護受給率

よく言われるように、母子世帯の生活は苦しい。年収の中央値は226万円(総務省『就業構造基本調査』2022年)。1人ならまだしも、育ち盛りの子が数人いるとなると生活は非常に苦しくなる。1日2食、いや1食。酷暑でもエアコンをつけられないなど、生存を脅かされるような状況になっても不思議ではない。

そうなった時に使うべきは生活保護だが、2022年7月時点において、生活保護を受けている母子世帯は6万3369世帯(厚労省『被保護者調査』2022年)。同年の母子世帯全体(53万4200世帯)の11.9%でしかない。

母子世帯のうち年収200万円未満の世帯の割合は42.3%、母子世帯の生活保護受給率は11.9%。この2つの数字の乖離が恐ろしい。要保護状態にもかかわらず、それを受けることはできず、困窮生活を耐え忍んでいる母子世帯が多く存在することを示唆する。生活保護を受けている母子世帯は、年収200万円未満とみなしていいだろう。この仮定をもとに、母子世帯の組成図を描くと<図1>のようになる。

<図1>

横軸では、年収200万円を境にして2つのグループに分けている。年収が200万円に満たない困窮母子世帯は22万5800世帯。このうち生活保護を受けているのは6万3369世帯。よって、困窮母子世帯の生活保護受給率は28.1%となる。

この値をどう見るかだが、いかにも低い印象を受ける。年収200万円未満(手取りだともっと少ない)で、母子が生計を立てるのは非常に難しい。貯蓄があるとか、親族からの援助を期待できるとかの理由で、保護を申請しない家庭もあるだろうが、保護を受けたくても受けられず、困窮生活を強いられているとしたら問題だ。生活保護の申請窓口で、違法な水際作戦がはびこっているのはよく知られている。



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