米国のトランプ大統領が、通商問題を巡り日本を再び名指しで批判しています。米国国内では巨額の財政赤字が見込まれる減税法案が審議されており、この二つの動きに関連が指摘されています。日米貿易協議の現状とトランプ氏の発言の真意を探ります。
貿易不均衡について発言するトランプ前大統領
日米貿易協議の現状と最近の動き
「ベトナムと関税協議で合意しました」とSNSに投稿したトランプ大統領。ベトナムに対する相互関税率は46%から20%にする代わりに、ベトナムはアメリカ製品の関税をゼロにするといいます。一方、一時停止中の対日関税上乗せ期間が来週9日に迫る中、日米間の関税協議は成果が見えぬまま後回しにされている状況です。
これに対し、石破茂総理大臣は「本当に真摯な国益をかけた交渉を続けている。今もその状況である」と述べ、協議継続の姿勢を示しました。
コメ関税を巡るトランプ氏の批判
連日、日本への不満をぶちまけ始めたトランプ大統領は、特にコメ市場についてやり玉に挙げました。「日本はコメ不足ですが、コメを買おうとしません。是が非でもコメが必要なのに買おうとしません」と主張しました。
これに対し、小泉進次郎農水大臣は「(コメへの)関税は700%もないですし、あまりにも日本の米価が高くて、アメリカも含めて海外のコメが昨年と比べて120倍入っている」と述べ、トランプ氏の批判に反論しています。
過去の経緯と「不公平」発言の背景
これまでに7回にわたって行われてきた日米協議は、トランプ大統領が日本の赤沢大臣と面会するなど、当初は優先順位がトップグループにありました。しかし現在は停滞しており、その中でトランプ大統領はかつて「貿易において、日本はとても不公平なことをしてきました。それはもう終わります」と強い言葉で日本を牽制しました。
専門家が見るトランプ氏の真意
トランプ大統領の発言の真意はどこにあるのでしょうか。みずほリサーチ&テクノロジーズの小野亮プリンシパルは、日本が自動車関税撤廃を崩さず、コメの市場開放を交渉のテーブルにのせていない「非常にタフな」交渉姿勢への不満が背景にあると分析しています。今後は、米国から日本へ親書が送られる形で、次の動きがある可能性があると見ています。それを踏まえて日本からの返事を待つ態度ではないか、と小野氏は指摘しています。
まとめ
日米間の貿易問題、特にトランプ大統領による日本批判は、米国の内政事情とも連動しながら続いています。日本側は国益を守る交渉を継続する姿勢を示していますが、米国からの今後のアプローチが焦点となりそうです。