参院選スタートの7月3日、大阪・ミナミの繫華街で第一声のマイクを握ったのは、日本維新の会の代表で大阪府知事の吉村洋文氏。
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「あまりにも負担が大き過ぎる社会保険料を下げていく努力が必要です。これは全世代にとっての問題なんです」
と言いながら、石破茂首相が公約に掲げる「全国民への2万円給付」に触れると、
「今、自民党がやろうとしてるのは選挙の前だからちゅうことで、2万円の現金を配ります、皆さんよろしく、でしょう。こんなの買収じゃないですか」
と激しい批判を展開した。現場にきていた維新の地方議員が驚いた様子で話す。
「ここまでヒートアップする吉村さんも珍しい。それだけ、今回の参院選がやばいってことの裏返しだ」
維新の“本拠地”大阪選挙区では、直近3度の参院選で、改選数4のうち2議席を維新が確保してきた。だが、今回は厳しい状況だという。
今回改選となる6年前の2019年参院選・大阪選挙区で、維新は梅村みずほ氏がトップ当選、東徹氏が2位で当選した。だが、梅村氏は4月にあった党内の参院選候補を決める予備選で敗れ、党のガバナンスを批判して離党。参政党に移籍し、今回は参政の比例区から出馬している。東氏は昨年10月の衆院選にくら替えして当選。維新は現職候補がいなくなり、予備選で選ばれた、いずれも大阪市議だった佐々木理江氏と岡崎太氏の新顔2人が立候補し、議席の確保を目指している。
前回22年の参院選で、維新の勢いは大阪にとどまらず、全国比例で野党トップの約780万票を獲得し、自民党に次ぐ8人を当選させた。しかし、今やその勢いはしぼんでいる。昨年の衆院選では、大阪でこそ小選挙区で全勝したものの、全国的には議席を6減らす惨敗だった。
3日の吉村氏の第一声でも、かつてのような熱気が聴衆から感じられなかった。かつては、吉村氏が演説するとなれば、1時間以上前に現場に到着しなければ撮影ポジションが確保できない状況だったが、今は聴衆も減り、ぎりぎりのタイミングでも十分だった。