社民党の参院選比例代表候補であるラサール石井氏(タレント)と大椿裕子副党首が、7月4日、東京・吉祥寺駅前で街頭演説を行った。社民党は、比例代表で「得票率2%以上」または「当選者3名以上」を満たせない場合、政党としての要件を失い政治団体となる「崖っぷち」の状況に置かれている。旧社会党時代から80年の歴史を持つこの老舗政党は、幅広い層に知名度を持つラサール石井氏の加入による党勢回復に望みをかけている。
参院選比例代表候補として東京都武蔵野市のJR吉祥寺駅前で街頭活動を行う社民党のラサール石井氏(左)と大椿裕子副党首。彼らは党の存続をかけた戦いを訴えた。
非正規雇用問題に焦点を当てる大椿裕子氏
大椿氏は、社会が抱える閉塞(へいそく)感の理由を、外国人政策ではなく非正規雇用の拡大にあると主張した。「外国人がいるから私たちの暮らしがしんどい」といった見方に対しては、「ふざけるなよ」と強い言葉で批判。長期的なニーズがある仕事でも、1年の雇用契約で数年後には解雇されるような非正規労働が増加し、本来正規雇用であるべき仕事が非正規に置き換えられている現状を問題視した。
彼女は、非正規雇用を最小限にするための法整備に取り組むと訴えた。自身も非正規労働者として雇止めにあった経験に触れ、「皆さんがクビを切られたとき、一番国会で気持ちが分かる」「仕事を失うことがどれだけ恐ろしく、自尊心をズタズタにされるかを分かる国会議員が1人くらいいないとだめだ」と述べ、自身の経験に基づく切実な思いから支持を求めた。
出馬の理由とメディア・政治への批判を展開するラサール石井氏
6月30日に参院選への出馬を表明したラサール石井氏は、「あきらめるのをやめた。政治発言を仕事にしようと決意した」ことが今回の立候補の理由だと説明した。彼は、自身のX(旧ツイッター)や日刊ゲンダイでの連載で政権や国に対する不満を発信してきた結果、テレビ局幹部から「芸能人が政治を語るな」と言われた経験を明かした。「政権を擁護している人はテレビに出ている。政権を批判しているから露出がなくなっていく」と述べ、メディアにおける政治的発言の現状に疑問を呈した。
社民党について、ラサール石井氏は「日本で一番民主主義を愛している。社民党こそ愛国だ。国イコール国民だからだ」と述べ、国民の貧しさや苦しさが国を弱くしているとし、武器を大量に購入しても強い国にはならないと主張した。
社民党の危機的状況と比例代表への呼びかけ
党勢が「崖っぷち」にあることに触れ、「社民党を無くしたら日本は滅ぶ」と危機感を露わにした。その上で、比例代表での投票先について「大椿裕子かラサール石井。社民党でもいい」と述べ、さらに「この際、れいわ新選組でもいいよ」と付け加えるなど、異例ともいえる呼びかけを行った。
参院選を前に、社民党は比例代表での足場固めを目指し、ラサール石井氏と大椿裕子氏が精力的に街頭で訴えを続けた。大椿氏は非正規雇用問題の解決、ラサール石井氏は政治発言の自由と国民のための政治の実現を訴え、党の存続をかけた戦いに挑んでいる。彼らの訴えが、有権者の心にどう響き、党勢回復につながるか注目される。
参考:
(https://news.yahoo.co.jp/articles/c627349b9b7d012bd5415567ea3b90d7b0296215)