参院選で見えぬ「国のかたち」、物価高対策の各論だけでは国民は離れる…参政党“好調”の一因にも


【写真】〝台風の目〟となっている参政党

 国民生活密着の個々の政策課題は本来、与野党が協力して実現していくべきであり、選挙で激しく競い合うことが適当かという疑問が残る。総選挙なみの政権選択選挙というなら、将来の青写真、「国のかたち」など遠大な問題こそ活発に論じられるべきだろう。

与党苦戦、国民、参政躍進の予測

 投開票日は20日。「海の日」と土曜日に挟まれた3連休の中日だ。行楽に繰り出す人が多いとみられ、野党からは「7月27日か、連休初日または最終日にすることも可能だった。投票率を上げようという気持ちはかけらもみられない」(国民民主党、古川元久代表代行)という批判がなされている。

 もっともな指摘だが、不可解な投票日設定は、浮足立つ自民党の内情を象徴しているようだ。

 与党の議席が過半数を割れば、政権交代の可能性が現実味を帯びるだけに、メディアなどは実質的な政権選択選挙と位置づけている。

 それにしては盛り上がりに欠けるが、原因のひとつとして、選挙前に石破茂政権が物価高対策として国民一人当たり2万円の〝低額給付〟を決めたこともあげられよう。対抗するため、各党とも消費税減税、与党を上回る額の給付など、あたかも「甘言」(7月4日、日本経済新聞)のような各論を競って掲げ、ここに議論を集中させてしまった。

 公示前日の8党首討論会(日本記者クラブ主催)でも、国の将来のあり方を示すのではなく、個別政策の方法論に多くの時間が費やされた。

 石破首相は、今回の選挙でもっとも訴えたいことを聞かれ、「国の将来に責任をもつ」と応じたが、具体的なビジョン、青写真を示すことなく、賃上げなどへの言及にとどまった。

 立憲民主党の野田佳彦代表も党のキャッチフレーズと同じ「物価高からあなたを守る」をあげ、消費税の食料品非課税、ガソリン税の暫定税率廃止などやはり具体論、方法論を示しただけだった。



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