日本の水道管危機、京都で起きた破裂事故が示す「老朽化」の現実

バシャバシャと勢いよく噴き出し、濁流が道路を流れ落ちる。京都で発生した水道管破裂事故は衝撃的でした。この出来事は、日本の水道インフラが直面している深刻な問題を浮き彫りにしています。全国各地で進む日本の水道管老朽化は、私たちの日常生活に直結する危機であり、早急な対策が求められています。

京都で発生した水道管破裂事故の詳細

2024年4月30日未明、大型連休中の京都市中心部、五条高倉の国道交差点で大規模な冠水が発生しました。地下から突然噴き出した大量の水は瞬く間に道路を浸し、周辺の住宅や車両に浸水被害をもたらしました。目撃者は「通りが川のようになった」「蛇口から茶色い水が出た」と語っています。この事故の原因は、地下約1.5メートルに埋設され、約65年前に敷設された水道管破裂でした。この管は法定耐用年数の40年を大幅に超過しており、破裂箇所には30センチ以上の穴が開いていました。

水道事業に詳しい近畿大学の浦上拓也教授は、水道管 老朽化のメカニズムを解説。「老朽化で管の厚みが薄くなり、内部水圧に耐え切れず一気に破裂に至るのが、今回の劣化による事故です。」

京都の道路で発生した水道管破裂による大規模な冠水現場京都の道路で発生した水道管破裂による大規模な冠水現場

このような水道管事故は全国で多発しており、国土交通省によると2022年度は約2万件発生。身近で断水濁水が起きれば生活に直結する一大事です。

日本全国で進む水道インフラの老朽化

浦上教授は、日本全体が抱える水道管 老朽化の現状を指摘。「多くの水道管は、1950年代後半から70年代の高度経済成長期に敷設されたため、現在、全国各地で法定耐用年数の40年を超過しています。」

このまま老朽化が進めば、京都市のような大規模な水道管 破裂事故が頻発しかねないと警告します。

京都市で今回破損した水道管は、数カ月後に更新工事が予定されていました。京都市上下水道局担当者によると、京都市では1959年から77年に敷設された管を「老朽管」とし、2032年度完了目標で順次更新中。今回の事故は交換直前に起きてしまったケースです。

水道管老朽化問題への懸念と今後の課題

京都での水道管破裂事故は、日本の水道インフラが抱える老朽化という深刻な問題を改めて浮き彫りにしました。高度経済成長期に集中的に敷設された多くの水道管が寿命を迎えており、今後同様の事故が全国で頻発する懸念が高まっています。水道インフラを持続可能にするためには、計画的な更新と必要な財源確保が喫緊の課題です。

出典:週刊文春