NHK連続テレビ小説「あんぱん」(月~土曜前8・00)の7月10日放送回(第74話)に、アニメ「それいけ!アンパンマン」で長年主人公アンパンマンの声を担当する声優、戸田恵子(67)が初登場した。35年以上にわたり国民的ヒーローを演じ続ける“真打ち”の朝ドラ登場として注目されていたが、その出演シーンはわずか約10秒で、台詞もなく、顔も映らないという「異例」の形となり、SNSなどで大きな反響を呼んでいる。
朝ドラ「あんぱん」とは
本作は、「ドクターX~外科医・大門未知子~」シリーズなどで知られる中園ミホ氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算112作目。国民的人気アニメ「アンパンマン」を生み出した漫画家やなせたかし氏と、彼を支え続けた妻・暢さんをモデルに、激動の昭和を生き抜いた夫婦の生涯を描く物語である。ヒロインの若松のぶを今田美桜が演じている。
第74話の展開と注目の新キャラクター「薪鉄子」
第74話は、のぶの東京出張前日の様子が描かれた。のぶは、岩清水信司(倉悠貴)から聞かされた「ガード下の女王」と呼ばれる婦人代議士に強い関心を抱く。その夜、柳井嵩(北村匠海)は辛島健太郎(高橋文哉)と酒を酌み交わしながらのぶについて語り、その場にいた小田琴子(鳴海唯)から女性の心を理解していないと一喝される一幕もあった。
注目の新キャラクター「ガード下の女王」こと薪鉄子(まきてつこ)は、戸田恵子が演じる人物として、物語に大きな影響を与えていく存在だ。岩清水によると、彼女の活動拠点はガード下。元は高知の旧家出身の令嬢でありながら、1946年(昭和21年)4月の総選挙で当選し、浮浪児や戦争未亡人らを救済するための活動に奔走しているという。のぶ以上の行動力を持つ「ハチキン」(土佐弁で「快活で男勝りな女性」)で、「弱い立場の者に手を差し伸べる」という強い信念を持っている人物として紹介された。
戸田恵子の初登場シーンとその「異例」ぶり
オープニングタイトルバックにはしっかりと「薪鉄子 戸田恵子」と表示され、その日の出演を示す「トメ」扱いとなっていた。しかし、実際に薪鉄子が登場した本編のシーンは、ガード下で子ども2人に毛布をかけるインサート映像として約10秒間のみだった。
連続テレビ小説「あんぱん」第74話に初登場した薪鉄子(戸田恵子)。ガード下で子どもたちに毛布をかけるシーン。足元と後ろ姿のみが映った。
このシーンでは、薪鉄子の足元と後ろ姿しか映されず、台詞も一切なかった。長年アンパンマンの声優を務める戸田恵子の記念すべき朝ドラ初登場が、顔も見せず声も発しないという形になったことは、多くの視聴者にとって予想外だったようだ。
戸田恵子が語る役への思いと「アンパンマン」との繋がり
戸田恵子は今回の「あんぱん」出演について、以前にコメントを寄せている。朝ドラ出演は2019年度前期の「なつぞら」以来6年ぶり6回目となる。
「『それいけ!アンパンマン』スタート時(1988年)、初回の台本を読んでアンパンマンの台詞に涙しました。同様に、今回の台本を手にした時も、うれしくて泣けてきました。こんなにも立派な正義の台詞を頂いて、とても幸せに思います。全国のアンパンマンファンの皆さん、天国のやなせ先生にも喜んでいただけるよう、ハチキン薪鉄子!精いっぱい、頑張ります!」と、役への深い思い入れと「アンパンマン」への特別な繋がりを語っている。
キャラクターのモデルは「てっかのマキちゃん」か
「あんぱん」の登場人物には、「アンパンマン」のキャラクターがモデルとなっているという“裏設定”があるとされており、薪鉄子は「てっかのマキちゃん」がモデルではないかとみられている。「てっかのマキちゃん」は、困っている人を見過ごせない正義感の強い女の子で、ドキンちゃんが弟子入りしたこともあるキャラクター。やなせ氏の好物である鉄火巻きがモチーフになっている。薪鉄子の「弱い立場の者に手を差し伸べる」という信念は、「てっかのマキちゃん」の性質と共通するものがある。
SNSでの大きな反響と今後の注目
今回の戸田恵子の「異例」の初登場に対して、SNS上では放送直後から大きな反響が寄せられた。「アンパンマン(戸田恵子さん)登場!と思ったら、顔は出ず、台詞もなし。明日のお楽しみだね」「出番、足だけ~w」「焦らすねぇ」「まさか足だけとは思わなかったw」「顔出しは明日に持ち越しかー」といった驚きや、今後の登場への期待の声が多く見られた。
次週予告には、薪鉄子が麻雀をしているシーンが映っており、本格的な登場は第75話(7月11日放送)以降になると予想される。国民的声優が演じるキーパーソンが、今後ヒロインのぶの人生にどのように関わっていくのか、注目が集まっている。