アメリカ南部テキサス州で発生した記録的な規模の洪水は、甚大な被害をもたらしています。この大規模な自然災害により、州全体での死者は少なくとも120人に達し、いまだ170人以上の行方不明者の捜索活動が続けられています。特に被害が大きい地域では、多くの尊い命が失われました。洪水が引き起こした悲劇的な状況は、被災者たちの生々しい証言や、命を落とした人々の物語から浮き彫りになっています。
テキサス州の深刻な洪水被害状況
今回の洪水で特に大きな被害が出ているのは、テキサス州中部のカー郡です。現地メディアの報道によると、カー郡だけでこれまでに36人の子どもを含む95人が死亡しており、依然として150人以上の行方がわかっていません。州全体で見ても、洪水による死者は少なくとも120人となり、その数は今後さらに増える可能性があります。救助隊や捜索隊は、濁流に呑み込まれた地域で懸命な活動を続けています。
洪水で命を落とした姉妹の物語
今回のテキサス洪水による犠牲者の中には、ブレアさんとブルックさんの姉妹がいました。姉妹は家族旅行で、氾濫したグアダルーペ川の近くの家を訪れていたといいます。洪水発生時、両親は姉妹とは別の家にいましたが、激しい濁流に阻まれ、姉妹の元へたどり着くことができませんでした。妹のブルックさんは午前3時半頃、父親らに「愛してる」というメッセージを送ったのを最後に連絡が途絶えました。姉妹は翌日、自宅から20キロ以上離れた下流の地点で、手をつないだ状態で見つかりました。姉妹が通っていた学校は、姉のブレアさんを「学校行事に積極的に参加し、人を助けるのが好きな子」、妹のブルックさんを「明るく、周囲を笑顔にする子」と偲んでいます。
アメリカ・テキサス州の洪水被害、広範囲に及ぶ浸水エリア
サマーキャンプ生存者が見た悪夢
カー郡で犠牲者27人を出した別のサマーキャンプに参加していた姉妹も、洪水に襲われた際の恐ろしい状況を語っています。キャンプには当時、およそ750人の少女が参加していましたが、想定外の速さで押し寄せた濁流に、多くの人が為す術なく呑み込まれました。生存した姉妹は「普通の雷雨だと思っていた」「避難する時間も全くなかった」と当時の衝撃を振り返り、「亡くなった子たちはまだ幼かったのに、自分たちは助かったことに罪悪感を抱いている」と辛い心境を明かしました。このキャンプからは、いまだ5人の少女と19歳の引率者1人の行方がわかっておらず、必死の捜索が続けられています。
結論
テキサス州を襲った大規模な洪水は、多くの命を奪い、深い悲しみと傷跡を残しました。死者数は増加の一途をたどり、行方不明者の捜索は難航しています。ブレアさんとブルックさん姉妹のような犠牲者の物語や、生存者の生々しい証言は、自然災害の恐ろしさと、人々の命の尊さを改めて私たちに訴えかけます。被害を受けた地域の一日も早い復旧と、行方不明者の無事発見が強く願われています。
参考文献
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