終戦から80年の節目となる今年、各地での「祈りの旅」を重ねてこられた天皇皇后両陛下が、新たな訪問先としてモンゴルを公式訪問されました。両陛下にとって、このモンゴル訪問は特別な意味を持ちます。天皇陛下(当時は皇太子)が前回モンゴルを訪問されたのは2007年ですが、その際は雅子さまのご体調を考慮し、陛下お一人でのご訪問となりました。あれから18年の時を経て、今回ようやくお二方揃っての訪問が実現し、長年の願いが実を結びました。
モンゴル到着と歓迎
両陛下は、約5時間のフライトを経て、モンゴルのチンギス・ハーン国際空港に到着されました。空港では、約40名のモンゴル儀仗兵が両脇に並び、モンゴルの外務大臣らが出迎えました。
到着後、両陛下はウランバートル市内のホテルに移動され、モンゴル在留邦人らの温かい歓迎を受けられました。訪問2日目の7日には、天皇陛下がお一人で公務に臨まれた一方、雅子さまは翌日以降の行事に備え、終日ホテルで過ごされました。
フレルスフ大統領夫妻との歓迎式典
訪問3日目の8日には、ウランバートル中心部のスフバートル広場で、フレルスフ大統領夫妻主催の歓迎式典が盛大に行われました。式典に出席するため広場に到着された両陛下は、民族衣装を纏った現地の子供たちから花束を贈られ、笑顔で受け取られました。歓迎式典には、モンゴル出身で日本で活躍した元横綱である朝青龍氏(44)、日馬富士氏(41)、白鵬氏(40)も出席し、両陛下を歓迎しました。
天皇皇后両陛下、モンゴル歓迎式典で子供から花束を受け取る
歓迎式典後、両陛下は庁舎内の応接用ゲル(モンゴルの遊牧民が使用する移動式住居)にて、フレルスフ大統領夫妻と懇談されました。この席で天皇陛下は、「今回、ふたりでモンゴルの歴史、社会、文化に触れることを大変楽しみにしております」と述べられ、両陛下揃っての訪問に対する喜びと期待を示されました。
日本人抑留者慰霊碑へのご供花
今回のモンゴル訪問において、両陛下は終戦後、旧ソ連からモンゴルに送られ、現地で命を落とされた約1700名の日本人を悼むために建立された慰霊碑を訪問されました。天皇陛下が在位中に日本人抑留者の慰霊碑を現地で訪問されるのは、今回が初めてとなります。この慰霊碑へのご供花は、両陛下が進められる「祈りの旅」の重要な一環であり、犠牲者を追悼し、平和への祈りを捧げる機会となりました。
今回のモンゴル公式訪問は、両陛下の国際親善に対する強いお気持ちと、雅子さまの回復を受け、18年ぶりに実現した特別な機会となりました。