トコジラミ被害が急増 全身100カ所以上刺された女性の悲痛な訴え

近年、日本国内でトコジラミの被害報告が再び増加傾向にあり、社会問題となっています。特に夏場に活動が活発化するこの厄介な昆虫に刺されると、激しいかゆみや腫れに悩まされ、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。今回、「イット!」は全身をトコジラミに刺されたという女性に話を聞き、その深刻な実態を取材しました。

全身のあらゆる場所に広がる赤い斑点。腕、足、胸、おなか…その数は100カ所以上にも及ぶといいます。この見るからに痛々しい刺され痕こそが、人間の血を求めて夜間に活動するトコジラミによる被害の証拠です。

トコジラミは体長わずか1cmにも満たない小さな昆虫ですが、刺されると蚊に刺された比ではないほどの強いかゆみと赤い腫れを引き起こします。一度に複数カ所を刺されることも珍しくなく、被害は甚大になりがちです。

FNNプライムオンライン発 トコジラミ被害に関するニュース画像FNNプライムオンライン発 トコジラミ被害に関するニュース画像

全身に広がる「100カ所以上」の赤い斑点 2週間以上続く激しいかゆみ

被害に遭った吉見千恵さんは、6月に友人と東北地方へ温泉旅行に行った際、宿泊施設で刺された可能性があると考えています。吉見さんの腕や足には無数の刺され痕が赤く腫れ上がり、その深刻さが伺えます。

吉見さんは当時の状況について、「最初の一週間全身かゆくて、どうしようもなくて。あまりにもかゆかったからシャワーを浴びて、背中をゴシゴシしながらかゆみを抑えるために一日に何回もシャワーに入って。我慢できないし、精神的にしんどかった」と、その壮絶な経験を語りました。眠れないほどの耐え難いかゆみは2週間以上経った今も続いており、改善の兆しが見えない状況です。

蚊とは比べ物にならない苦痛 精神的な落ち込みも

吉見さんと一緒に旅行に行った小幡真由美さんもまた、トコジラミとみられる虫に刺され、ひどいかゆみに悩まされています。小幡さんは、「蚊に刺されてかゆいのとは、比べものにならないです。かゆくて目が覚めるんです、2〜3時間経つと。薬を何度塗っても1時間持たないですね。かゆくてかゆくてイライラするし、気分が落ち込む感じでした」と、肉体的な苦痛に加え、精神的な負担も大きいことを明かしました。

トコジラミの成虫。人の血を吸う夜行性昆虫トコジラミの成虫。人の血を吸う夜行性昆虫

トコジラミ被害相談が過去最多に 専門家が指摘する「ホテル発生」と「夏の活発化」

日本におけるトコジラミの被害相談件数は年々増加の一途をたどっており、2023年には初めて1000件を超える1091件となり、過去最多を記録しました。(出典: 日本ペストコントロール協会)

吉見さんたちが宿泊した温泉旅館側は、月に一度の害虫駆除を行うなど対策を取っていたと説明していますが、それでも被害を防ぐことはできませんでした。この点について、日本ペストコントロール協会の谷川力技術委員長は、「よくあるのがホテルで発生したり、不特定多数の人が使うところが非常に多い。例えば海外に旅行に行った方が、かばんに付いてきてしまったものですね」と、人の移動が多い場所での発生リスクが高いことを指摘しています。

加えて、気温が上昇し、昆虫の活動が活発になる夏場は特に注意が必要な時期です。谷川委員長は、「夏場にピークを迎えるので、6月7月頃から増えてきてピークは8月頃だと思います」と語り、夏の旅行シーズンと重なる時期に被害が増加しやすい傾向にあることを示しました。実際、令和5年度における月別の相談件数を見ても、6月が146件、7月が152件、8月が125件、9月が155件と、暖かくなる時期から件数が増加していることが分かります。(出典: 日本ペストコントロール協会)

トコジラミに一度刺されると、上述のように強いかゆみに長時間苦しむことになります。もし発見した場合は、被害の拡大を防ぐためにも、殺虫剤などで速やかに駆除することが最善の対応策とされています。夏の旅行やレジャーで宿泊施設を利用する際は、念のためベッド周りなどを確認するなど、注意を怠らないことが重要です。

出典: FNNプライムオンライン, 日本ペストコントロール協会