天皇皇后両陛下が三重県を訪問され、「第44回全国豊かな海づくり大会」にご臨席された際の様子が報じられました。あいにくの雨にもかかわらず、両陛下は五ヶ所湾の入り江でイセエビやマダイの稚魚を放流され、海に泳ぎ出す魚たちを優しい眼差しで見守られました。この「全国豊かな海づくり大会」は、全国植樹祭、国民スポーツ大会、国民文化祭と並ぶ「四大行幸啓」の一つであり、両陛下が地方を訪れて国民と交流される重要なご公務とされています。
四大行幸啓の完遂と雅子さまの自信
今回の三重県ご訪問をもって、両陛下は今年の四大行幸啓を無事に終えられました。皇室担当記者は、「今年の四大行幸啓を終えられたことに、天皇皇后両陛下も安堵していらっしゃったと伺っています」と語っています。また、今年は戦後80年という節目の年であり、「記憶継承の旅」と呼ばれる慰霊の旅も行われたため、雅子さまには少なからずご負担があったと見られています。しかし、一連の公務を滞りなく終えられたことで、雅子さまは一層自信を深められていると記者は評価しています。両陛下の真摯なご姿勢が、国民の心に深く響いたことでしょう。
園遊会に臨まれた天皇皇后両陛下の後ろに西村泰彦宮内庁長官の姿
西村宮内庁長官の「故郷錦」と去就への憶測
三重県ご訪問中、両陛下を感慨深げに見つめる西村泰彦宮内庁長官の表情が印象的だったと、前述の皇室担当記者は明かしています。両陛下が鳥羽市の鳥羽水族館を視察された際、西村長官が同市出身であることから、「故郷に錦を飾った」ような思いがあったことでしょう。今年6月、西村長官は歴代長官が退任する目安とされる70歳を迎え、その去就が注目されていました。宮内庁内では、「海づくり大会を花道に退任するのではないか」という見方が広がっているといいます。宮内庁長官は、約1000人を超える職員を束ねる宮内庁のトップであり、両陛下の最側近として、ご公務への同行やあらゆる懸案に関する相談相手を務める重責を担っています。
西村長官の経歴と築き上げた信頼
西村長官は警察庁のキャリア官僚として、警視総監や内閣危機管理監といった要職を歴任した後、2016年に宮内庁次長に着任しました。そして、令和に代わった2019年12月に宮内庁長官に昇格しています。着任当初、宮内庁関係者からは「警察官僚としては22年ぶりの次長着任であり、強権を振るっていた当時の政権が送り込んだ人材だということで、庁内では警戒する向きもありました」と振り返られています。しかし、元高校球児で野球好きという一面や、常に穏やかで柔らかな物腰を崩さない人柄が、次第に天皇ご一家をはじめ職員たちの信頼を得ていったとのことです。その経験と人柄が、今の宮内庁運営に大きく貢献していると言えるでしょう。
天皇皇后両陛下の三重県ご訪問は、四大行幸啓の重要な締めくくりとなりました。その陰には、長年にわたり両陛下を支え、宮内庁の重責を担ってきた西村泰彦長官の存在がありました。故郷での公務に臨む長官の姿は、多くの人々の心に深く刻まれたことでしょう。今後の西村長官の去就と、皇室の活動を巡る動向に、引き続き注目が集まります。





