ロシアによるウクライナ侵略が続く中、トランプ前米大統領がウクライナ支援を積極化する方針に対露姿勢転換したとの見方が広がっている。大統領権限での兵器供与方針や、ロシアに関する「重大な声明」の予告などが報じられ、ウクライナは歓迎、ロシアは警戒感を示している。
兵器供与方針の報道と弁明
これまでトランプ氏はウクライナへの軍事支援に否定的な姿勢を見せてきた。しかし、先日、国防総省による一部兵器供与停止発表について、自身の決定ではないと否定し、支援継続の意向を示した。さらに、ロイター通信は消息筋情報として、トランプ氏がバイデン前大統領の手法に倣い、大統領権限により約3億ドル規模のウクライナ支援(兵器供与)を行う方針を固めたと報じた。トランプ政権下では、これまでバイデン前政権が決定した分の兵器のみが供与されていたとされる。
トランプ前米大統領、ウクライナ支援方針転換の報道に対し
ロシアへの「重大声明」予告
また、トランプ氏は10日、ロシアに関して「重大な声明」を14日に発表すると予告した。欧米メディアは、これは露産石油の禁輸などに関わる大規模制裁の発表となる可能性を伝えている。
姿勢転換の背景にロシアへの不満か
こうしたトランプ氏の対露姿勢転換の背景には、自身の停戦提案をロシアが受け入れないことへの不満があるとの見方が強い。トランプ氏は以前、ウクライナでの民間人死傷を受けた露軍攻撃に対し、「プーチン大統領は正気を失った」と批判。その後もロシア批判を続け、最近は米国がウクライナの防衛を支援すべきとの考えも示していた。
ロシア軍ミサイル攻撃によりウクライナ首都キーウで破壊された建物
米国の基本方針への回帰との分析
米CNNテレビは今月8日、最近のトランプ氏の言動を「ロシアの侵略に対抗するという数十年来の米国の基本方針に回帰した」と分析した。ロシアに寛容だったがその強硬姿勢を変えられず、「ロシアが敵対者だと学んだ」との見方も示している。
トランプ氏のウクライナ支援積極化とロシアへの強硬姿勢を示唆する一連の動きは、国際社会で大きな関心を集めている。ウクライナ側は歓迎の意を示す一方、ロシア側は今後の展開に対して警戒感をあらわにし、その失望感がにじみ出ている。
[Source link ](https://news.yahoo.co.jp/articles/24d2bb19dfb038fb06f313ca464889329d90bb49)