ロシアのラブロフ外相、朝鮮半島「紛争の可能性かなりある」と警告

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は11日、マレーシアのクアラルンプールで開かれたASEAN地域フォーラム(ARF)外相会議に際して、朝鮮半島情勢に関する記者会見を行った。同外相は、地域での紛争が発生する可能性は「かなりある」との見解を示し、ラブロフ 朝鮮半島 紛争のリスクが高まっている現状に警鐘を鳴らした。

緊張高まる背景:米韓日同盟の強化と軍事訓練

ラブロフ外相は、朝鮮半島での緊張高まりは「北朝鮮に対するいかなる賭博的行為も避ける必要がある」というロシアの強調にもかかわらず続いていると指摘。特に、「米国、韓国、日本による軍事同盟の強化」がこの状況を招いていると主張した。さらに、「核の要素を含む軍事訓練の規模が徐々に大きくなっている」ことに懸念を示し、「したがって、同地域には深刻な対立の潜在力がかなりある」と改めて強調した。
米韓日軍事同盟の強化と拡大する合同軍事訓練を批判するラブロフ露外相米韓日軍事同盟の強化と拡大する合同軍事訓練を批判するラブロフ露外相

ロシアの立場:北朝鮮の正当な権利擁護

ロシア外相は、朝鮮半島情勢におけるロシアの役割についても言及。「我々の北朝鮮同盟の正当な権利を保障し、良くない結果に終わる挑発を防止するために、できる限りのことをする」と述べ、伝統的な友好国である北朝鮮を支持する姿勢を明確にした。

ASEAN外相会議後の平壌訪問

ラブロフ外相は、ASEAN外相会議への出席を終えた後、11日から13日にかけて北朝鮮の首都・平壌を訪問する予定だ。滞在中、北朝鮮のチェ・ソンヒ外相と2回目の戦略対話を行うと報じられている。これは、両国間の連携強化を示す動きと見られる。
ASEAN会議後、北朝鮮・平壌を訪問するセルゲイ・ラブロフ露外相とチェ・ソンヒ外相ASEAN会議後、北朝鮮・平壌を訪問するセルゲイ・ラブロフ露外相とチェ・ソンヒ外相

北朝鮮のARF外相会議不参加とその背景

一方、北朝鮮は今回、加盟国であるARF外相会議に初めて不参加の見込みだ。2000年の加盟以来、主に外相が出席してきたが、2019年のハノイでの米朝首脳会談決裂後は大使級の参加にとどまっていた。今回の異例の欠席について、2017年の金正男氏暗殺事件以降、マレーシアとの外交関係が断絶している影響の可能性などが分析されている。
北朝鮮が今回不参加となったASEAN地域フォーラム(ARF)外相会議の様子北朝鮮が今回不参加となったASEAN地域フォーラム(ARF)外相会議の様子

ロシアのラブロフ外相による今回の発言は、米韓日による安全保障協力の強化と軍事演習拡大が、朝鮮半島における紛争リスクを高めているとのロシア側の強い認識を示すものだ。同時に、ロシアが北朝鮮との連携を重視し、その立場を擁護していく姿勢も改めて示された。今後の地域情勢は、関係各国の動きと外交努力にかかっている。

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