川野太郎、『キッズ・ウォー』撮影秘話を語る:天才子役たちの舞台裏

俳優の川野太郎さん(65)が、かつて出演した人気ドラマ『キッズ・ウォー』の撮影当時の貴重なエピソードを明かしました。特に、主演を務めた井上真央さんをはじめとする子役たちのプロフェッショナリズムに感銘を受けたといいます。この記事では、川野さんが語る当時の舞台裏と、作品を通じて育まれた温かい絆に迫ります。

脚本を読んで涙した感動体験

川野さんは、『キッズ・ウォー』の出演オファーを受けた際、まず脚本を読ませてもらったといいます。「たしか桜の季節だったと思います。公園の駐車場に車を止めて、車内で脚本を読むと、簡単なフレーズなのに心情がしっかり描かれていて、思わず涙を流したり、笑ったり。『これはすごく面白くなりそうだ!』と確信しました」と当時を振り返りました。脚本の持つ力に引き込まれたことが、出演を決める大きな要因だったようです。

天才子役・井上真央との出会い

プロデューサーからは、共演する子供たちは“最強の子役を選んだ”と聞かされていたそうです。主人公・茜を演じた井上真央さんについて、「オーディションで『ざけんなよ!』と教壇を蹴散らす演技を求められたところ、いちばん迫力があって、一発で茜に決まったそうです」と語りました。さらに、撮影に付きっきりだった真央さんのお母さんが「台本はほとんど開かないで、スキャナーみたいに覚えてしまう」と話していたエピソードを挙げ、「天才子役でした」と絶賛しています。

ドラマ「キッズ・ウォー」出演者一同(川野太郎、生稲晃子、井上真央、宮崎真汐ら)ドラマ「キッズ・ウォー」出演者一同(川野太郎、生稲晃子、井上真央、宮崎真汐ら)

憎まれ役を演じきった宮崎真汐

ほかの子供たちも“最強”だったと川野さんは振り返ります。特に、何かといえば茜にくってかかる里香を演じた宮崎真汐さんについては、「憎まれ役です。ドラマがヒットしてくると視聴者も茜の味方が多くなったので、思春期の里香にはさまざまな思いもあったはずですが、嫌な顔をせず、完璧に憎まれ役を演じきりました」と、そのプロフェッショナルな演技を称賛しました。視聴者からの反発も予想される役柄を、幼いながらに見事に演じきった宮崎さんの力量に感心した様子がうかがえます。

驚異的なプロフェッショナリズム

子供たちはほとんどNGも出さなかったといいます。「本番ギリギリまでみんなでゲラゲラ笑っているのに、『はい、本番』という掛け声とともに、本当のきょうだいのように本気でケンカをするんです。見事な切り替えに、末恐ろしさを感じました(笑)」と、その見事な集中力と切り替えについて驚きを語っています。遊びと仕事のスイッチを瞬時に切り替える子役たちの能力は、大人顔負けだったようです。

本物の家族のような絆

川野さんは、より“家族”らしい時間を作るため、母親役の生稲晃子さんと相談し、子供たちを連れてよく焼き肉店に連れて行ったそうです。「生稲さんなどもみんな役名で呼びあって、本当の家族のような感覚に。作品もシリーズ5まで続いたので、久しぶりに会う新シリーズのスタート時なんか、子供たちが声変わりしたり、身長が伸びたりしていてね」と、撮影期間を通じて本物の家族のような絆が生まれたことを語りました。長期間にわたる撮影を通じて、出演者たちは役柄を超えた関係性を築いていったことが分かります。

「キッズ・ウォー」出演で知られる俳優・川野太郎氏「キッズ・ウォー」出演で知られる俳優・川野太郎氏

特に、ホテルの近くのコンビニの前で偶然会うと、その成長ぶりに驚かされたといいます。リアルな家族の様子が描かれたこのドラマが人気を博した背景には、俳優たちのこうした関わり合いがあったようです。

我が子の複雑な思い

しかし、当時まだ幼かった川野さん自身の子供には、複雑な思いがあったようです。「撮影が終わって東京の自宅で息子と一緒にオンエアを見ようとすると、自分のパパがよその子供のパパになっている姿は見たくないみたいで、嫌がりました。ちょっと寂しい思いをさせたのかもしれませんね」と、家庭での微笑ましいエピソードも披露しました。ドラマでの役柄と現実の父親との間で、幼い息子さんは戸惑いを感じていたのかもしれません。

結論

川野太郎さんが語る『キッズ・ウォー』の舞台裏からは、子役たちの驚異的なプロフェッショナリズムと、作品を通じて育まれた出演者たちの温かい絆が伝わってきます。こうしたリアルな人間模様が、多くの視聴者の心を掴み、長寿シリーズとなった要因の一つと言えるでしょう。俳優たちが真摯に役と向き合い、共に成長した撮影現場の様子が、改めて作品の魅力を浮き彫りにしています。

【出典】「女性自身」2025年7月15日・7月22日合併号