相手によって態度を一変させる人と出会ったら 仏教視点の対処法


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 ましてや、自分がその攻撃の対象になったときは、なおさらいい気分はしないでしょう。こちらは相手に対して誠実に接しているのに、なぜかキツく当たられたり、見下したような態度を取られたり、ぞんざいな扱いを受けたり。たとえ表面上は笑顔でその場を取り繕ったとしても、内心モヤモヤが残る。特に仕事において、そんな経験のある方も多いのではないでしょうか。

 こうした、相手によって態度を変える人に出会ったとき、仏教ではどのように受け止め、どんな心の持ち方でいたらよいのかをお伝えしたいと思います。

●「比較」から生まれる心のクセに気づく

 人は本能的に、他人と自分を比較し優劣をつけないと自分の立ち位置が分からない──そんな性質を持っています。その延長線上で、相手によって態度を変えてしまうことが起こります。

 例えば、権力や立場がある人には「嫌われたくない」という思いが働く一方で、何も言い返さなさそうな人に対しては、つい強く出てしまう。仏教では、他人と比べて優越感や劣等感を抱く煩悩の一つに「慢(まん)」があります。つまり、高圧的だったり、こびへつらったりと人によって態度を変える人は、その人の中にある比較する心の不安定さが表に出ている証拠なのです。

 もしもそういった人に出会ったときは、「ああ、この人は今、心が安定していないんだな」と受け止めること。相手の態度に心を乱されてしまうと、自分も同じ土俵に降りてしまうことになります。大切なのは、相手の態度は相手の問題であり、自分の心は自分で守るという視点です。そうやって相手を観察し、切り離して考える癖をつけるだけでも、人との関わり方が少し楽になるかもしれません。



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