【ロンドン=板東和正】北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は4日、軍事力を拡大する中国やロシアへの対応などについて協議し、「ロンドン宣言」を発表して閉幕した。首脳会議で中国問題を本格的に扱うのは初めて。同宣言は、世界的に影響力を増す中国への対応は「NATOとして連携して取り組む問題だ」との認識を確認した。
ロンドン宣言は「中国の影響力の増大と国際政策は、NATOの同盟として一緒に取り組む必要がある機会と挑戦の両方を示している」と明記。ロシアについては「ロシアの攻撃的な行動は、欧州・大西洋の安全保障に対する脅威」と指摘。サイバー攻撃やハイブリッド攻撃への脅威に直面していると強調した。
同宣言は国内総生産(GDP)比2%超とする目標を設定している米国以外の加盟国の国防費について「コストと責任を分け合うことで決意した」と明記。
NATOのストルテンベルグ事務総長は4日、首脳会議後の記者会見で、中国が米欧を射程に収める長距離ミサイルを開発しているとし、「中国の台頭を認識してくことが大事な一歩だ」と発言。「同盟として共同で安全保障の問題などに取り組む必要があることで一致した」とした。「中国に軍縮協定への参加を促す方法を見つけなければならない」とも話した。
ロシアに対しても「NATOは、ロシアとの有意義な対話を受け入れつつ、強力な抑止と防衛に取り組んでいる」と話した。
会議では、陸海空とともに、宇宙空間やサイバー空間の防衛などについても協議した。ストルテンベルグ氏は記者会見で、NATOが宇宙を陸海空、サイバー空間に次ぐ第5の「作戦領域」として認識を共有したことを明らかにした。
今回の首脳会議はNATOの創設70周年を記念し、最初の本部が置かれた英国で、2日間の日程で開催された。