米国東海岸を襲う記録的豪雨:ニューヨーク地下鉄浸水、死者2名報告

米国東海岸のバージニア州からニューヨーク州にかけての一帯は、現地時間14日から15日にかけて記録的な豪雨と暴風雨に見舞われ、甚大な被害が発生しています。この悪天候により、これまでに少なくとも2名の死者が報告され、道路の広範な冠水、地下鉄の浸水、航空便の運航停止など、市民生活に深刻な影響が出ています。各地では数十件に及ぶ救助活動が展開されており、緊急対応が続けられています。

各地で記録された異常気象と広範囲な影響

今回の豪雨発生地域では、14日だけで7月の1日あたりの件数としては最多となる約100件の洪水警報が発令されました。国立気象局(NWS)の報告によると、ニュージャージー州ニューアーク付近、ニューヨーク市、バージニア州北部、メリーランド州南部など広範囲で洪水被害が確認されています。

特に深刻なのはニュージャージー州で、濁流に車が押し流されたことにより、現時点で2名の死者が確認されています。バージニア州ピーターズバーグ市は14日の洪水を受けて、老朽化した排水路インフラが被害を拡大させたとして、非常事態を宣言。15日未明までに少なくとも25件の救助活動が実施されましたが、死傷者は報告されていません。

ニューヨーク市を襲った豪雨:交通機関の麻痺

ニューヨーク市では、通勤時間帯に豪雨が直撃し、大きな混乱が生じました。現地時間の午後7時から8時までの1時間で約50ミリという猛烈な雨量を観測。総雨量は約67ミリに達し、これは1908年7月14日に記録された過去最高の降雨量を上回るものです。

ニューヨーク市内の地下鉄駅の改札付近で洪水が発生し、水があふれ出す様子。米国東海岸の記録的豪雨による交通機関への影響を示す。ニューヨーク市内の地下鉄駅の改札付近で洪水が発生し、水があふれ出す様子。米国東海岸の記録的豪雨による交通機関への影響を示す。

ソーシャルメディアに投稿された映像には、ニューヨーク市内の地下鉄構内に泥水が勢いよく流れ込み、さらに地下鉄の車内まで浸水し、乗客が座席にしがみつく様子が捉えられています。都市交通局(MTA)によると、少なくとも1つの地下鉄駅が水没し、多数の列車が運休や遅延に見舞われました。

また、米連邦航空局(FAA)の発表によれば、ニューヨーク市内の主要空港は14日夜に一時的に全便の運航を停止。首都ワシントンD.C.やボストン地域の空港にも、今回の異常気象による影響が波及しました。

ニュージャージー州・ペンシルベニア州での深刻な被害

ニュージャージー州知事は14日夜に非常事態を宣言し、住民に対し不要不急の外出や道路利用を控えるよう呼びかけました。15日に入っても、洪水で乗り捨てられた車の撤去作業や、道路の修理・残骸除去作業が続き、一部の道路では通行止めが続いています。

同州ノースプレインフィールドでは、道路が完全に水没して通行不能となり、少なくとも30棟の住宅から住民が救出されました。2名の死者を出したユニオン郡では、わずか2時間の間に1200件を超える緊急通報があり、警察が19件の救助活動に出動しました。同地の総雨量は約76ミリから127ミリに達したと報告されています。

ペンシルベニア州で水没した道路を歩く人々の様子。米国東海岸の広範囲にわたる豪雨被害と、生活への深刻な影響を示唆している。ペンシルベニア州で水没した道路を歩く人々の様子。米国東海岸の広範囲にわたる豪雨被害と、生活への深刻な影響を示唆している。

ペンシルベニア州ランカスター郡でも、14日午後に16件の救助活動が実施されました。午後2時ごろからの5時間足らずで雨量は177ミリを超え、一部地域では住宅が高さ1.5メートルを超える水に浸かる事態となりました。

今後の見通し

米国東海岸での大雨は15日も継続すると予想されており、バージニア州、ノースカロライナ州、メリーランド州、デラウェア州の一部地域では、引き続き豪雨に見舞われる可能性があります。関係当局は住民に対し、最新の気象情報に注意し、安全を確保するよう呼びかけています。

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