国民民主党・玉木代表の政局戦略と連立交渉の舞台裏:「煮え切らない」発言の真意とは

日本の政界は、高市早苗氏が自民党総裁に選出されて以来、目まぐるしい動きを見せている。特に注目を集めるのが、公明党と国民民主党が政策連携の強化に合意したというニュースだ。国民民主党の玉木雄一郎代表は、10月16日の公明党との会談後、記者団に対しこの合意を報告した。自公連立の解消、日本維新の会と自民党の急接近など、与野党間の駆け引きが複雑に絡み合う中、玉木代表の「煮え切らない」とも評される一連の言動とその真意が、識者や世論の関心を集めている。本稿では、最新の政局動向と、玉木代表が抱える戦略、そしてその裏に隠された深層に迫る。

自公連立解消と新たな政界再編の兆し

高市早苗氏が10月4日に自民党の新総裁に選出された後、日本の政治情勢は一変した。連立を組んでいた公明党は10日に自民党との連立解消を表明し、政界に大きな衝撃を与えた。この動きを受け、自民党は新たな連携相手を模索。15日には高市氏と日本維新の会の吉村洋文代表が会談を行い、両党の急接近が報じられた。翌16日には連立政権構築に向けた政策協議が開始され、吉村代表は政策合意に至れば、首相指名選挙で高市氏に投票する意向を明らかにしている。この一連の動きは、長年続いてきた自公連立に代わる新たな政界の枠組みが形成されつつあることを示唆している。

国民民主党・玉木代表の「寝耳に水」と高市氏からの誘い

このような政局の急展開は、立憲民主党や維新との協議を進めていた国民民主党の玉木雄一郎代表にとって、「寝耳に水」の出来事だったようだ。玉木代表は15日夜のライブ配信で、維新に対し「二枚舌」「自民党とやるんだったら最初から言ってよ」と“恨み節”を漏らした。

実は15日には、玉木氏も高市氏と会談していた。高市氏は国民民主党を「一致点の多い政党」と評価し、玉木氏に対して「政策をスピーディーに進めたいのであれば、一緒に責任を担ってほしい」と協力を求めたとされる。しかし、公明党が抜けた後の自民党と手を組んでも、確保できる議席数が過半数に満たないという理由から、玉木氏は連携に二の足を踏んでいた。その一方で、自身のX(旧Twitter)では「内閣総理大臣を務める覚悟があります」と発信し、立憲民主党には政策の一致を強く要求。野党間の連立交渉が長引く中で、維新に先んじられたことは、玉木氏にとって想定外の事態だったと考えられる。

国民民主党の玉木雄一郎代表が記者団の取材に応じる様子。公明党との連携強化について語っている。国民民主党の玉木雄一郎代表が記者団の取材に応じる様子。公明党との連携強化について語っている。

「次期首相」の声と”煮え切らない発言”の裏側

与野党との駆け引きの中で「次期首相」の呼び声も高まっていた玉木代表だが、最近は「煮え切らない発言」が目立つようになっていた。10月14日の定例会見では、「仮に政権の枠組み交渉が滞ったり、なかなか着地点が見いだせないなら、いわゆる“総総分離”」と、総理と自民党総裁を別の人物が務める方針を提起。さらに、臨時国会が21日に召集予定であるにもかかわらず、15日に出演したテレビ番組では「国会を開くのはいいが、首相指名選挙は火曜日にやるな」とも発言していた。これは、月曜日に改めて野党3党首会談を行い、基本政策の一致について事前調整を行いたいという意向の表れと見られるが、その慎重姿勢は国民の目には不可解に映ったかもしれない。

政治ジャーナリスト・後藤謙次氏の鋭い分析

「首相になる覚悟がある」と公言しながらも、首相指名選挙を先延ばしにするかのような言動を繰り返す玉木代表。この不可解な動きについて、著名な政治ジャーナリストの後藤謙次氏(76)が『報道1930』(BS-TBS)で示した“解説”が注目を集めている。後藤氏は、玉木氏が突如として持ち出した「総総分離」について、「おそらく維新の動きと表裏一体の関係にあるんだと思います」との私見を述べた。

後藤氏の見立てによれば、玉木氏が仮に総理になるためには、現在の政局がしばらく不安定な状況を維持している必要があるという。もし与野党の連携がどちらかに固定化されてしまえば、玉木氏の「勝ち目はない」と分析。さらに、「玉木さん自身も、私が見るところ、自民党と手を組む限り総理大臣になれないんですね」と断言した。

また、後藤氏は、高市氏が14日のイベントで「諦めません」と力強く挨拶したことに触れ、高市氏に玉木氏へ「総理の座を譲る意思はない」との見解を示した。その上で、「これは確証はないんですけど」と前置きしつつ、驚くべき水面下の情報に言及した。「実は玉木さんに財務大臣兼副総理っていうポストを、(自民党が)用意していた時期があったんですね。そこが最高位なわけですよね」後藤氏によると、こうしたやり取りは高市氏が総裁に就任してからであり、現在の閣僚人事で財務大臣だけ名前が出ていないのは、このポストを空けていたからではないかと推察。

この分析は、玉木氏が混乱状態を維持し、「総総分離」のような宙ぶらりんな状況を作ることで、自身が再び浮上するチャンスを伺っていたという解釈へと繋がる。司会の松原耕二キャスターも「自民党のなかに維新がしっかり結びつく前に、自分がもう1回入り込める隙は作れるんじゃないかという気持ちがあったということですよ」と同調。後藤氏は、連立するか否かは別として、玉木氏が掲げていた政策を実現するためには、維新が入り込んでしまえばその隙間がなくなる可能性があるため、「そこを宙ぶらりんにしておくというのが玉木さんの思惑にあったような気がしますね」と解説した。

世間の冷ややかな視線と今後の戦略

後藤氏の見立てが的中しているか否かは定かではないが、維新に“恨み節”まで呈した玉木代表には、世間から冷ややかな視線が注がれることとなった。X(旧Twitter)やインターネット上では、以下のような声が寄せられている。

  • 「これ本当だったとしたら、やらかしたな むしろわざとなのか?」
  • 「色んな意味で衝撃 自民党は玉木氏に副総理と財務大臣のポストを用意していたと。これ実現してたら自民党内で不満噴出しそうだけど。勿体つけてる内に維新に先越された玉木氏が、今後色々難癖つけてきそうだね」
  • 「首班指名遅らせるのも、総総分離もやめてくれ 玉木さん国民の声聞けてる!?さっさと政策を進めてくれ!!が国民の声ですよ」

国民の多くは、政局の停滞よりも政策の迅速な推進を望んでいることが伺える。冒頭のぶら下がり取材で玉木代表は、「維新の皆さんが自民党に連立の条件として出した12項目を見ましたが、あの中にも年収の壁の引き上げは入っていないので。私どもと公明党がしっかりとタッグを組んでこれを実現していく」と述べ、引き続き維新を意識した発言を行っていた。与野党が複雑に絡み合う日本の政界において、玉木代表の次なる戦略が果たしてどのような展開を見せるのか、今後の動向が注目される。

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