「外国人犯罪急増」SNS投稿の真偽は?参院選を前にデータで徹底検証

20日投開票の参議院選挙を前に、SNS上では「外国人」というキーワードを絡めた投稿が急増し、社会の関心を集めています。特に「外国人犯罪が急増している」「外国人はすべて不起訴になる」「日本人だけが厳しく起訴される」といった、根拠不明な情報が拡散されている現状が見られます。このような投稿が事実に基づいているのか、公式データを用いて検証し、その背景を探ります。

SNSで拡散される「外国人犯罪」の言説と懸念

参議院選挙が迫る中、SNSプラットフォーム、特にX(旧Twitter)では、「参院選」と「外国人」の二つのワードを含む投稿が1日で7万件を超えるなど、活発な議論が交わされています。この動きは、外国人政策に対する国民の関心の高まりを示唆していますが、同時に誤解を招く情報も散見されます。

政府からは、一部の外国人による犯罪や迷惑行為に対して国民が不安を感じているとの見解も示されており、SNS上では「外国人犯罪が多すぎる、急増している」「外国人はすべて不起訴になっている」「日本人だけが起訴される」といった主張が頻繁に見られます。これらの投稿は、時に国民の不安を煽り、社会の分断を招く可能性もはらんでいます。

SNSで増える外国人犯罪に関する投稿のグラフSNSで増える外国人犯罪に関する投稿のグラフ

データが示す「不起訴」投稿の誤り:日本の起訴率

SNS上で拡散されている「外国人はすべて不起訴になる」という情報が事実と異なることは、最新の公的データから明らかです。法務省が発行する2023年の「犯罪白書」(刑法犯・特別法犯の処理状況)によると、検察庁による来日外国人(永住者などを除く)の事件処理状況を見ると、そのうち41.6%が起訴されています。これは「すべてが不起訴」という主張が間違った情報であることを明確に示しています。

ちなみに、日本人と外国人を含めた全体の起訴率は39.6%となっており、来日外国人の起訴率が全体平均を上回っていることからも、外国人に対して特別に不起訴処分が多く出されているという主張には根拠がないことがわかります。このようなデータに基づかない誤った情報が流布する背景には、情報源の不確かさや、特定の意図を持った情報操作の可能性も考えられます。

在留外国人数の増加と社会への影響

「外国人犯罪が急増している」という主張の検証には、まず日本国内にどれだけの外国人が居住しているのか、その実態を把握することが重要です。出入国在留管理庁のデータによると、日本で暮らす在留外国人の数は、新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に減少したものの、その後再び増加に転じ、2023年には約377万人と過去最多を記録しました。

また、観光目的などで日本を訪れた外国人入国者数も、2023年には約3678万人となり、こちらも過去最多を更新しています。都心部や観光地では、外国人観光客や居住者の姿を日常的に多く見かけるようになり、日本社会の国際化が急速に進んでいることが実感されます。

在留外国人の過去最多を示すグラフ在留外国人の過去最多を示すグラフ

結論:正確な情報に基づいた議論の重要性

参議院選挙を控え、外国人に関する情報がSNS上で活発にやり取りされる中で、「外国人犯罪が急増している」「外国人は不起訴になる」といったデマが拡散されていることが確認されました。しかし、本記事で示した通り、これらの主張は日本の公的な犯罪統計や在留外国人に関するデータと照らし合わせると、事実と異なることが明らかです。

情報が瞬時に拡散される現代社会において、特に政治的なテーマや社会問題に関する情報は、その真偽を正確に判断することが極めて重要です。公的機関の発表するデータを参照し、多角的な視点から情報を検証する姿勢が、健全な社会議論を育む上で不可欠であると言えるでしょう。有権者が正しい情報に基づいて判断を下せるよう、日本ニュース24時間は今後も正確な情報発信に努めてまいります。