俳優の佐藤浩市さん(64歳)が、テレビ朝日系長寿番組「徹子の部屋」に出演し、妻と共に長年続けている「週末里親」活動について、その深い思いと経験を語りました。この活動は、東京都が推進する「フレンドホーム」制度の一環であり、乳児院や児童養護施設の子どもたちを週末や長期休暇中に家庭で預かるものです。佐藤さんの率直な言葉からは、子育ての難しさや、自身の複雑な家庭環境が与えた影響が垣間見え、多くの視聴者の心に響きました。
「週末里親(フレンドホーム)」活動の概要と意義
佐藤浩市さん夫妻が取り組む「週末里親」活動は、東京都が「フレンドホーム」と呼ぶ公的な制度です。これは、親元で生活できない子どもたちに、温かい家庭環境を提供し、愛情と経験を分かち合うことを目的としています。佐藤さんの場合、息子である俳優の寛一郎さん(28歳)が独立した後に、妻からの提案でこの活動を始めたと言います。
番組では、これまで何人かの子供たちを受け入れてきた経験について質問が及び、佐藤さんは「うちに来ていた子が卒園してから、その後にお預かりしている子はいませんが、そのご縁で、子どもたちや若い人たちが家に来て、いろんな人に来てもらって、お話を聞いて、勉強会のようなものを続けています」と説明しました。子どもたちとの絆が、一時的な預かり期間だけでなく、その後も深い交流へと発展している様子がうかがえます。
初めての受け入れと佐藤浩市の「距離感」
初めて子どもを受け入れたのは、中学生の時だったと佐藤さんは振り返ります。「最初は緊張もしましたし、どうすればいいのかな、ということも思った」と当時の心情を吐露。しかし、「逆にこっちが変に構えちゃうと、向こうも構えるだろうし。普段通り、ソファに座って『お腹すいたか?』って聞くぐらい」と、自然体で接することの大切さを語りました。
テレビ朝日系「徹子の部屋」出演時の俳優・佐藤浩市。週末里親活動について穏やかに語った
特に印象的だったのは、妻との連携についてです。「妻が頑張って、彼女との距離感を詰めようとする時に、僕はちょっと距離を置いたりとか、逆もあったりとか、バランスを」と、夫婦で協力しながら、預かる子どもとの最適な関係性を築こうと努めてきたことを明かしました。この言葉からは、単なる制度利用に留まらない、真摯な夫婦の姿が見て取れます。
父・三國連太郎の影響と子育てへの複雑な思い
佐藤浩市さんの父は、稀代の俳優である三國連太郎さん(2013年4月に90歳で死去)です。佐藤さんは小学生の時に両親が離婚し、父子関係が途絶えるという複雑な生い立ちを経験しています。この経験が、自身の子育てに対する考え方に大きな影響を与えていることを、番組内で穏やかな表情で語りました。
「息子の時もそうですけど、子育てを僕はできない人間なんで、ハハハ」と自嘲気味に語り、「(子育ては)本当に難しいなぁ」と本音を漏らします。父・三國さんが家庭にいる人ではなかったこともあり、「教育じゃないけど、自分もどうやって接したらいいか分からない。遠くを見ながら話をするぐらいで」と、子どもたちとの向き合い方について、内省的な言葉で締めくくりました。週末里親としての活動は、佐藤さん自身の人生と深く結びついた、意義深い取り組みであることが示唆されます。
佐藤浩市さんの言葉からは、週末里親活動を通じて子どもたちに温もりを届ける一方で、彼自身の過去や親子の関係性について深く考えさせられる様子が伝わってきました。
参考文献
- Yahoo!ニュース: 佐藤浩市、夫婦で取り組んだ「週末里親」活動について語る 息子の独立後に「妻の提案」で開始
https://news.yahoo.co.jp/articles/6cd6d1ca46233bc260d1ccd966a1b6919379f51f