2024年度の上場企業の平均年間給与は671万1000円に達し、業種別では海運業や証券・商品先物取引業、保険業などが上位を占めています(帝国データバンク「上場企業の「平均年間給与」動向調査(2024 年度決算) 」)。就職や転職を考える上で、業界研究とともに重要なのが役職による収入の変化です。では、日本における中間管理職の平均的な収入はどの程度なのでしょうか。
日本における中間管理職の平均年収の実態
日本の「中間管理職」、すなわち部長、課長、係長といった役職者の平均年収について、厚生労働省が公開した「令和6年賃金構造基本統計調査 役職別」のデータをもとに詳細を解説します。この調査は、6月分の所定内給与額(超過労働給与額を除く税控除前金額)を平均したものです。一般的に、中間管理職の平均年収は500万円から1000万円程度の範囲にあるとされています。
役職別・男女別の詳細な平均賃金
厚生労働省の統計によると、中間管理職の男女別平均賃金は以下の通りです。
- 部長: 男性 63万6400円 / 女性 54万9900円
- 課長: 男性 52万2400円 / 女性 45万8100円
- 係長: 男性 39万6300円 / 女性 35万4000円
この月額賃金をもとに、年間ボーナスを月額賃金の2カ月分と仮定して年収を試算すると、概ね以下のようになります。
- 部長: 男性 約1018万円 / 女性 約879万円
- 課長: 男性 約835万円 / 女性 約732万円
- 係長: 男性 約634万円 / 女性 約566万円
この試算から、男女間には年収で70万円から150万円程度の差があることがわかります。特に男性部長においては、平均年収が1000万円を超える水準にあります。
全体平均との比較:中間管理職の収入水準
中間管理職の年収は、女性であっても日本の全体平均と比較すると高い水準にあることが見て取れます。国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」による日本の給与所得者全体の平均年収は460万円です。これと比較すると、女性の係長が約566万円、女性の課長が約732万円、女性の部長が約879万円と、いずれの役職でも全体平均を大きく上回っています。
日本の企業における中間管理職の平均給与と年収差
高い収入水準にある一方で、中間管理職は組織と部下の間に立ち、多くの責任と悩みを抱える立場でもあります。
まとめ
本記事では、日本の中間管理職の平均年収について、最新の統計データを基に解説しました。上場企業の平均年間給与が671万円を超える中、役職が収入に大きく影響することが明らかになりました。厚生労働省の調査によれば、部長、課長、係長といった中間管理職の年収は、役職や性別によって差はあるものの、おおむね500万円から1000万円程度と、日本の給与所得者全体の平均を大きく上回る高水準にあります。しかし、高い収入と引き換えに、中間管理職には相応の責任と課題が伴うことも忘れてはなりません。
参考資料
- 帝国データバンク「上場企業の「平均年間給与」動向調査(2024 年度決算) 」
- 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査 役職別」
- 国税庁「令和5年分民間給与実態統計調査」