西九州新幹線「未整備区間」協議進展:佐賀・長崎・JR九州、FGT断念の「国の責任」で一致

西九州新幹線・武雄温泉駅(佐賀県武雄市)から九州新幹線までの「未整備区間」を巡り、佐賀県の山口祥義知事、長崎県の大石賢吾知事、そしてJR九州の古宮洋二社長は19日、2回目の意見交換会を非公開で開催しました。この会談では、在来線活用を目指した「フリーゲージトレイン」(FGT)の開発を国が断念した責任について、国への対応を求める必要性が各者間で共有されたことが明らかになりました。

山口佐賀県知事の発言:フル規格合意と国の責任を強調

意見交換会後、報道陣の取材に応じた山口知事は、「互いの気持ちを再確認できた」と述べ、会談の成果を説明しました。知事は、いたずらに先に進めるのではなく、「フル規格であれば、しっかり合意した上でやらなければならない」との考えを表明。FGTの頓挫による地元負担は「国の責任」であり、国側から何らかの打開策が提示されるべきだと主張し、ルートや在来線活用に関する課題について活発な意見交換が行われたと語りました。

意見交換会後、報道陣の取材に応じる山口佐賀県知事。西九州新幹線の未整備区間問題について語った。意見交換会後、報道陣の取材に応じる山口佐賀県知事。西九州新幹線の未整備区間問題について語った。

特に、FGT断念が国の責任であるという点では各者の意見が一致したと強調。延伸ルートの着工が見通せない北陸新幹線問題を引き合いに出し、「解決する中で様々なヒントが出てくるのでは」と、今後の展開に期待を示しました。3者で国に共同で働きかけるかという問いに対しては、「3者でということではなく、それぞれ思いを発信すればいい。打開策というか、国の方から話すのが筋ではないのか」と、国からの積極的な対応を促す姿勢を見せました。

また、1年3か月ぶりとなる今回の意見交換会で認識の変化があったかとの質問に対し、山口知事は、国がなかなか動かない中で合意形成は困難だとしつつも、「国の責任でFGTが頓挫したことを国に追及していこうというところは一致した」と、この点が最大の進展であったことを明らかにしました。ルートの環境影響評価(環境アセスメント)を前倒しで行う提案については、「議論をしていく中で話になったらありかと思うが、今は(佐賀)駅だけ、という感じなのでそこに踏み出すことはない」と、現時点での優先順位ではないとの見解を示しました。

大石長崎県知事の発言:環境アセスメントの前倒しと国への要求

一方、長崎県の大石賢吾知事も会談後、報道陣の取材に応じ、国の負担で環境アセスメントを前倒しで行う必要性などについて語りました。

西九州新幹線未整備区間に関する意見交換会後、メディアの質問に答える大石長崎県知事。国の責任を強調した。西九州新幹線未整備区間に関する意見交換会後、メディアの質問に答える大石長崎県知事。国の責任を強調した。

大石知事は、会談で地元負担やルート、地域の発展など多岐にわたる議論がなされたことを説明。特に地元負担に関しては、「FGTを断念した経緯を踏まえて、国にしっかりと対応を求めていくことで一致した」と述べ、山口知事と同様に国の責任追及で合意したことを強調しました。

まとめ:国の責任と今後の課題

今回の意見交換会では、西九州新幹線「未整備区間」の課題解決に向け、佐賀、長崎両県とJR九州の間で、特にFGT断念における国の責任を明確にし、国に対して具体的な対応を求める点で共通認識が形成されました。これは、長期にわたる懸案事項に対し、関係者間で連携を強化し、国からの主導的な打開策を促す重要な一歩となります。今後、この共通認識を基に、各者がどのように国へ働きかけ、未整備区間の問題解決へと繋げていくかが注目されます。


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