日本版「私の夫と結婚して」撮影の舞台裏:小芝風花の挑戦と日韓制作現場の壁

Prime Videoで配信中のAmazonオリジナルドラマ「私の夫と結婚して」日本版が、配信開始以来、大きな反響を呼んでいます。韓国で大ヒットした同名作品のリメイク版で、小芝風花さん(28)と佐藤健さん(36)がダブル主演を務めています。特に「TV番組トップ10(日本)」では頻繁に1位を獲得するなど、その注目度の高さが伺えます。しかし、この作品の制作現場では、成功の裏に隠された厳しい現実と、日韓共同制作ならではの課題があったと、関係者は語ります。

ドラマ「私の夫と結婚して」日本版:期待と注目の背景

小芝風花さん演じる主人公・美紗は、優しさゆえに夫と親友に裏切られ、命を落とすという壮絶な運命を辿ります。物語は、彼女が10年前にタイムリープし、自分を裏切った夫や親友への“復讐”を目指すという衝撃的なストーリー。韓国版の圧倒的な人気を受けて制作された日本版は、その独特な設定と復讐劇というテーマから、多くの視聴者の期待を集めていました。

ドラマ「私の夫と結婚して」日本版で主演を務める小芝風花、過酷な撮影を乗り越える女優の表情ドラマ「私の夫と結婚して」日本版で主演を務める小芝風花、過酷な撮影を乗り越える女優の表情

日韓共同制作がもたらした「過酷な現場」の実態

本作の撮影は3月から4月にかけて日本国内で行われましたが、アン・ギルホ監督をはじめとする韓国のクリエイター陣と日本人スタッフが共同で制作にあたったため、通常の撮影現場とは異なる過酷な状況が生まれたといいます。制作関係者は、「撮影チームは約30名で、日韓のスタッフが半々。コミュニケーションは通訳を介していましたが、撮影スタイルの違いや説明不足から、日本人スタッフが次々と現場を離れ、その都度補充を繰り返す事態になりました」と明かしています。

日本式の制作では、主演俳優のスケジュールに合わせて撮影時間が分単位で厳密に決められます。一方で韓国式は、「日没までにAシーンを撮影し、日没後はBシーン」といった大まかな段取りで進められることが多く、この文化的な違いが摩擦を生みました。ある時には、主要出演者に別の仕事があり14時までに現場を離れる必要があったにもかかわらず、その情報が韓国スタッフに正確に伝わっておらず、大きなトラブルに発展したこともあったそうです。

スタッフとキャストが直面した精神的・肉体的負担

さらに、アン・ギルホ監督の演出スタイルも現場の負担を増大させました。演技に納得がいかないと妥協せず何度も撮り直しを行うため、一つのシーンの撮影が長時間に及ぶことも少なくありませんでした。これに対し、出演者からは「なぜこんなに待ち時間が長いんだ」という不満の声が上がることがあったといいます。

このような状況の中、撮影開始から約1ヶ月が経った頃、ある日本人スタッフが精神的に追い詰められ、現場で感情を露わにする事態も発生。制作関係者によると、「小芝さん自身もこれまで経験のない修羅場のような現場にショックを受け、涙ぐんでしまったそうです」と語っています。主演の小芝さんと佐藤健さんは、深夜に撮影が終わり、翌日も早朝から現場入りするという、睡眠時間が4〜5時間しか取れない日が続く過酷なスケジュールに直面しました。地方ロケでも、撮影場所の近くに飲食店がなく、出演者やスタッフ全員がコンビニ弁当で夕食を済ませるという状況もあったとのことです。

小芝風花の女優としての成長とプロフェッショナリズム

このような厳しい撮影現場を経験した小芝風花さんですが、本作品について「今までとは違う雰囲気や経験ができてとても新鮮でした」と“大人なコメント”を発表しています。精神的、肉体的に追い込まれる状況を乗り越えたことで、女優として一回りも二回りも成長したことは間違いないでしょう。

「私の夫と結婚して」日本版の成功の裏には、日韓の制作文化の違いからくる衝突や、キャスト・スタッフの計り知れない努力と苦労がありました。このドラマは、単なるリメイク作品としてだけでなく、国際的な共同制作の難しさと、それを乗り越える人々のプロフェッショナリズムを示す事例としても、深く記憶されることでしょう。


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